「仲間の好きな事でワイワイする青春はいつでも楽しいと言うのを改めて実感させてくれる作品です。」あの頃。 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
仲間の好きな事でワイワイする青春はいつでも楽しいと言うのを改めて実感させてくれる作品です。
なんか緩そうな感じな作品でポスタービジュアルだけ見るとスルーしてしまいそうでしたが、監督があの今泉力哉さんと言う事で俄然興味が湧き、鑑賞しましたw
で、感想はと言うと、良い♪ 好き好き。
緩いオタクの青春映画とも言えますが、確りと作られていてアイドル考証も結構確りしている感じ。
勿論、筋金入りのハロプロファンの方からすると甘い部分もあるかも知れませんが、そうでない人が観る分には程良い加減具合ではないでしょうか?
原作は「神聖かまってちゃん」の元マネジメントの劔樹人さんの自伝的エッセイ「あの頃。男子かしまし物語」。
2000年代初頭から東京に出てくるまでの数年間を過ごした大阪市阿倍野区での日々を描いていて、アイドルグループに夢中になっていた青春を仲間たちと謳歌しつつも、様々な困難に直面し少しずつ大人になっていく姿を映画用に脚色されている。
原作は読んでないのでどこまで変更されているかは分かんないですが、大学を卒業して、20代の中盤に差し掛かろうとする頃に第二の青春を迎える様な感じがキラキラしていてなんか羨ましい。
趣味やジャンルによっては小馬鹿にする様な人がいますが、他人が見たら馬鹿馬鹿しく写る物ほど、皆んなで集まってワイワイするのって楽しいんですよねw
アイドルにどっぷりハマった事はないんですが、それに近い感じはあったりしたのでw、なんかそれを思い出しました。
ハロプロはある程度直撃世代からズレていますが、それでもモーニング娘。の楽曲がそれなりに知っているし、松浦亜弥が登場してきた時の正統派アイドル感オーラは今でも覚えていますが、追っかけているアイドルがモー娘。や松浦亜弥さんと言うのは個人的には分かりやすいし有り難いですw
何よりもハロプロの協力がガッツリあったのか、ガッツリハロプロ推しでAKB48のブレイクとは微妙にズレているとは言え、ここまでハロプロ推しなのが清々しいw
また仲野太賀さん演じるコズミンが2次元キャラにハマった際に「一騎当千」にガッツリだったのもなんか凄いw
この辺りの権利関係のクリアしているのもきちんと「仕事」がなされている所でクオリティの高さが伺えます。
また大阪の阿倍野界隈が舞台となっていると言うのもなんか良い。
大阪舞台にした青春映画って何処か雑多で何処か猥雑で何処かエネルギッシュに感じるんですよね。なので物凄く共感出来る。あの界隈に戻りたいかと言われれば、そうではないけど青春の忘れ形見的な何かがある感じ。BOROの「大阪で生まれた女」みたいなw
主人公の劔樹人役に松坂桃李さんで仲野太賀さんや山中崇さん。若葉竜也さん、芹澤興人さん、コカドケンタロウさん、大下ヒロトさんらが「ハロプロあべの支部」のメンバーとして青春を謳歌しているのが楽しそう。
この中で影の主役的なのが仲野太賀さん演じるコズミンが良い感じ。口だけ番長で仲間には強気で口は達者でイキリ倒すが、対面すると急にショボくなるヘタレを描いた様な感じだが、憎めない良いヤツ。
いろんな楽しそうな事もトラブルも含め、物語はコズミンを中心に進んでいく感じで、そう考えると松坂桃李さん演じる劔樹人がストーリーテラーみたいになっているのは勿体無い感じがしますが、物語の起伏が生まれているので良いではないかと思いますが如何でしょうか?
また一番気になったのは松浦亜弥さんのシーンはどうするのか?
ライブのシーンは過去の映像でも良いかと思うが、あまり劇中で映らなさ過ぎるのもどうかと思うし、かと言って現在ご結婚もされ、半ばセミリタイヤに近い形の松浦亜弥さんを無理矢理引っ張り出すとも思えない。かと言ってそっくりさんでは無理があるし、全身を写しても顔は出さないのも不自然。
どうなるんだ?と思っていた時に劔が握手会に参加するシーンがあって、登場したのは山﨑夢羽さんえんじる松浦亜弥。
ハロプロの所属のアイドルグループ「BEYOOOOONDS」(ビヨーンズ)のメンバーだとか。正直この方は知らなかったんですが、意外に似てたのもあって違和感なく飲み込めましたw
青春映画と言えど、20代半ばの少し拗らせた感じの面々ばかりで、見ていて痛々しい部分も多々あるけど、その痛々しくも青臭い部分がなんか清々しいし、気持ち良い。
大人な歳であっても、好きな物を好きだ!と言う気持ちは大事だと思うんですよね。
それがこの作品ではドストレートに表してます。
他にも劔がモー娘。の東京コンサートで上京した時にチケットの売買で一緒になった女性との仲が発展しそうで発展しないのが個人的にはお気に入り。
とかく恋愛に絡めても良さそうなのに変に恋愛事情を絡ませないで趣味と友情と生き方に特化しているのが良いんですよね。
ラストも本当は御涙頂戴で終わってもおかしくないのに、“笑って送ってやろうぜ!”と言う姿勢は好きです。
ハロプロ推しではありませんが、この作品は楽しんで観る事が出来ましたが、今泉力哉監督の幅の広さと脚本を担当された冨永昌敬の意向が合致しているからでないでしょうか?
緩いといえば緩い。でもこういう青春があるのも事実でその青春をキチンと描かれているのが好きなんですよね。
結構お勧めの青春映画です♪