「寵児か翻弄か」エルヴィス 赤ヒゲさんの映画レビュー(感想・評価)
寵児か翻弄か
少年エルヴィスが黒人音楽に出逢い、42で非業の死を遂げるまでが描かれていますが、特にマネージャーのパーカー大佐(トム・ハンクス)とエルヴィス(オースティン・バトラー)の関係が軸になっている印象でした。以前、ドキュメンタリーで観たエルヴィスは、人間的な魅力に溢れ、一瞬で魅了されてしまいましたが、今作ではそういった感じよりもショウビジネスにおける光と闇に焦点が当てられているように思えました。彼をスターダムの座に導くお膳立てをしてくれた名マネージャーであり、金の亡者のような人物に絡め取られてしまったエルヴィスの半生は、観ていて辛かったです。死の6週間前に収録されたコンサートで「アンチェインド・メロディ」を本人が歌うシーンのオーラに圧倒されました。「ボヘミアン・ラプソディ」(18)でもラストに出てくるフレディーの映像がすべてをもっていくような印象でしたが、カリスマ的人物の伝記映画の宿命のように感じました。
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