「やっとピントが合った」エルヴィス てりらさんの映画レビュー(感想・評価)
やっとピントが合った
生涯にただの一曲の作詞も作曲もしなかったエルヴィス。気にそぐわない歌詞を一行かそこら改変したくらいで、ボブ・ディランや、もっと古くはウディ・ガスリーあたりからの、今では当たり前のシンガーソングライターと比べると創造性はないのではないか?
さらには歌いパフォーマンし、ショーの一部としてのMCをする彼の印象はとても強烈だが、等身大の人物像がどうにも伝わってこない。それをもってスターというならそうでもあろう。
数多の名曲を作ったバディ・ホリーと比べると、自分には実像が見えなかったのです。
クイーンを描いた 映画と同じくらい実話的には、そこは「映画」として成立させるための嘘もあります。いや、かなりあります。彼は喫煙も飲酒もしなかったはずだし、母親がキッチンドランカーというのも疑わしいなあ。
でもこの映画によって、エルヴィスとい輪郭のボヤけた神獣のような存在にやっとピントがあったように思いました。彼は極めて創造的なアーティストだった!そこです。彼が作詞作曲をしなかったのは、ブルースマンの演奏するそれは作詞作曲したものなのかどうか微妙だったりするのと同じことだと思うと合点がいきました。パフォーマンスも創造なのですよね。
意図されたかどうかは分かりませんが、その過程を描き出したことが、彼の実像を見た気にさせてくれたのです。
なにより、ミュージシャンの伝記映画の9割以上はどうしようも無い物なのですが(断言します)、これは映画としてはよく出来てます。嘘が多いのは、そりゃ映画だから。(で済ませていいのかどうかは確信がないので星は三つ)
ここまで書き殴ってやっと分かりました。彼が残してくれた音源、ライブ映像、それが真実。なんだ、そうだったのか!
映画の論評にはなってませんね、、、