劇場公開日 2022年7月1日

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「エルヴィスはブラックミュージックを心から愛していた」エルヴィス ゆみありさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5エルヴィスはブラックミュージックを心から愛していた

2022年7月1日
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僕が外国のポップミュージックに興味を持ち始めた頃(小学校高学年だよ)、かつてスーパースターだったエルヴィスが「サスピシャスマインド」「この胸のときめきを」(これは日本でも大ヒットした)とヒット曲を連発し復活を遂げ、さらにラスベガスのライブ「エルヴィスオンステージ」のド派手な衣装とパフォーマンスで大絶賛を浴び、まさにロックミュージックの生きる伝説となったところでした。しかし、この復活も何年かするとドーナツの食べ過ぎ(都市伝説?)による肥満が噂され若くして亡くなってしまった。これが僕のリアルなエルヴィス体験である。
この頃僕はマーヴィン・ゲイ、テンプテーションズ、ジャクソン5が好きになり、特にエルヴィスには興味はなかったのだが、黒人音楽を取り入れて人気を得たということは知っていた。模倣?流用?なんて思っていたが、エルヴィスの音楽は単なる模倣ではなく、その出自から始まり心からのブラックミュージックへの愛情から来たものだということがわかりすごーく感激してしまった。
当局からエルヴィスの黒人的なパフォーマンス(白人を貶める、性的で猥褻などという戯言)を止められたにもかかわらず、友人であるブルースの神様B.B.キングの助言もあり、自らのスタイルを貫き通し逮捕された下りでは不覚にも涙がこぼれてしまった。エルヴィスって凄いんだ(何を今さら)。
エルヴィスが世間に見つかってしまった冒頭のステージ、自らの思いを貫き禁じられたダンスパフォーマンスをするステージ、低迷から復活を遂げたステージ、この3つのステージ(そこに至った背景とオーディエンスの熱狂ぶりを含む)を観られただけで星5つ、大満足である(-0.5は終盤のマネージャーとのごたごた)。リトル・リチャードみたいな歌手(あの人リトル・リチャードだよね)が出てたのも感動もん。50年代のブラックミュージックを感じられたのも良かった。観て良かったなあ。エルヴィスをもう一度聞き直してみよう。
映画「ボヘミアン・ラプソディー」もそうだったけど史実を弄っているのだろうが、野暮なことは言うまい。観るものを感動させるラーマン監督の手腕を褒めておこう。

ゆみあり