「ユニバース崩壊してもハーレイは健在」ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 シューテツさんの映画レビュー(感想・評価)
ユニバース崩壊してもハーレイは健在
最初は『スーサイド・スクワッド』のパート2なのかと思っていましたが、前作は無かったかのようにシレっとリブート作品を作ったみたいです。
これは以前、MCUの『ハルク』でもありましたが、あれは恐らく『アベンジャーズ』シリーズの整合性からのお家の事情だと思われるのですが、今回のリブートの意図は分かりません。私の推測だと、制作会社の発言力のある人が前作を気に入らなかったから作り直させたという気がします。しかし、MCUに対抗したDCエクステンデッド・ユニバースとしては、またもや統一性に欠けたバラバラ感を印象付けられました。
でも、そのバラバラ感がDCの特徴でもあり魅力でもある様で、本作も中々強烈で面白かったです。
しかし、前作を無かったかのような扱いの割には、主役はやはり前作と同様にハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)であったし、他にも前作のアマンダ・ウォラー役のヴィオラ・デイヴィス、ブーメラン役のジェイ・コートニーを起用しているし、前作の良いとこ取りはキッチリと押さえられていました。この辺りはちょっと狡いですよね。
その狡い監督はMCUでの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのジェームズ・ガン監督で、『アベンジャーズ』シリーズではちょっと色合いが違っていた監督で、今回も今までのDCEUの中では異色感が強く、MCUで言うと『デッドプール』の様なオフビートが利いた作品になっていて面白かった。だからこそハーレイ・クインのキャラは外せないし、生きてくるのでしょう。
映画レビューも中々の高評価でしたが、ここぞとばかりに前作を貶し本作を祭り上げるというお決まりのレビューが多かったのにはうんざりしました。
確かに本作の方が面白しいし『スーサイド・スクワッド』(悪党集団が主役)であるならこうでなくてはという出来になっていましたが、上記したように前作がただの駄作ではなく、色々な魅力もあったからこその良いとこ取りであり、更にパワーアップ出来たのだと私は思いますけどね。(しかし、アメリカ本国では不評だったとのこと)
最近のハリウッド映画でよく使われる「~バース」という表現は、「ユニバース=世界観」という意味であり、MCU作品がきっかけでシリーズ化しやすいという意味で今のハリウッド映画業界(“ゴジラバース”“スパイダーバース”等々)での主流になって来ていますが、古くは手塚漫画がその方式を取り入れていて(メインキャラが俳優の様に他作品にキャラのまま登場する)私世代には馴染みがある方式です。
しかし、DCEUは元々統一性がないので、今後も本作の様に自由にキャラを使って、才能ある個性的な作家が撮りたいように撮ればいい様な気がします。ハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)にはまだもう少し出て欲しいですからね。