「史上最悪天候カーチェイス」THE BATMAN ザ・バットマン せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)
史上最悪天候カーチェイス
バットマンを挑発するかのように毎回メッセージを残す連続殺人事件発生。その犯人を追う中で自分の過去と向き合うことになるブルースの話。
いや〜かっこよすぎた。基本暗くてじっとりしてる雰囲気なのに音楽と映像のセンス最高すぎて。やっぱりバットマンって黒いからノーラン版全部テレビで見た身からすると、テレビで見ると何が起こってるかよく分からないし、ほぼ画面に自分の顔しか映らないのよ(笑)映画館の真っ暗闇の中でこの黒を体感して欲しい。
黒だけじゃなく所々で照らされる光の感じ方もちょっとずつ違って、最後に出てくるある光の温かさはほぼ黒い画面だからこそ出せる光だなと思った。
ただ、暗すぎてアクションシーンもあんまよく見えないのがちょっと残念。カーチェイスなんて明るいっちゃ明るいけど雨降ってるから視界悪すぎるしよくあの状況でカーチェイスできたな。でもIMAXで見たから車のエンジン音が胸に響いて最高だった。だからバットマンの車ももっとちゃんと見せて欲しかったな〜。
やっぱ冒頭のバットマンが犯罪者たちを監視してるかのシーンが最高で完全に心掴まれた。恐怖の象徴としてバットマンマークを掲げることで犯罪者たちが恐らく何も無い暗闇を怖がるという演出がホラー映画の語り口っぽくて面白かった。
あと、ブルースの意図しない方向に影響が及んで今回の殺人者を生み出してしまった訳だけど、それ小田急線事件のジョーカー姿の犯人の件と同じじゃんと思った。バットマンと同じことをしていると言ってるけど、バットマンは狙い撃ちはしてないわけで。同じ恐怖でも、あのバットマンマークは大範囲に網を張って牽制してるのであって、人々の怒りを煽ってない。
こういう解釈の違いで危険人物は生まれてしまうわけだけど、だからと言って、ブルースがそれを受けて立ち止まるのではなく自分の正しい姿勢を示す、それこそヒーローだなと思った。事件を受けて『ジョーカー』の地上波放送を中止にしたどこかの国の人に見てもらいたいね。