劇場公開日 2022年3月11日

  • 予告編を見る

「DCU的マルチバース」THE BATMAN ザ・バットマン シューテツさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0DCU的マルチバース

2022年3月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

いやぁ~、メチャクチャ面白かったなぁ。で、久々に映画的興奮に浸りましたよ。
約3時間があっという間に過ぎてしまいました。

鑑賞中色々なことが頭を駆け回って何から書いたら良いのかまとまっていませんが、とりあえず思ったのは、マーベルの象徴的ヒーローがスパイダーマンだとすると、DCの象徴的存在がバットマンになるのだろうなということ。
「いやいやスーパーマンだろう」という反論が出てきそうですが、スーパーマンというのは別枠のヒーローという概念そのものの象徴であり、スパイダーマン、バットマンは元々人間であることが重要であり、そのキャラそのものが会社のイメージであり全ての作品の方向性になっている様に思います。
それで思うのは、そのキャライメージからマーベルはやはり若者向けであり漫画で言うと少年・青年誌であり、DCは大人向けの成人誌であることが最も大きな違いなのだと思います。
なので高齢者の私は、マーベル作品では子供心を蘇らせる為に鑑賞し、DC作品では酸いも甘いも噛み分けた熟成した人間観を感じる為に観ているのも知れません。
それとマーベル作品で今マルチバースが流行っていますが、DC作品の場合は『ジャスティスリーグ』『スーサイドスクワッド』『ジョーカー』と三つのそれぞれに違うバースであるゴッサムシテイのバットマンワールドでマルチバースを利用し表現していたのですね。

で本作の感想ですが、既に何度もシリーズ化されそれぞれにヒットし評価もされているにも関わらず作り続けられる、原作の持つ力をあらためて感じさせられました。
私もどのシリーズも楽しんできたし好きなのですが、何度映画化されても飽きないし、どんどん刺激的になり間違いなく映画的に進化していて、古い題材で“今”の映画にしているのには毎回感心させられています。
そしてどうやら本作は『ジョーカー』のバースのその後の様にも感じらる程にリアルなタッチの人間ドラマが描かれていました。
そのせいか、私は本作を観ながら様々な映画を思い出し頭を過っていました。
まず、本作の印象はレイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説の様な進行で『さらば愛しき人よ』や『チャイナタウン』などの探偵映画を思い出し、次にギャング映画として『コッドファーザー』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』『グッド・フェローズ』を思い出し、サイコキラーサスペンス映画として『ゾディアック』や『セブン』、神と災害映画として『ポセイドン・アドベンチャー』、アクション映画では最新『007』シリーズ等々、私程度の映画好きでもこれだけの映画を思い出させるほど、この監督のシネフィルぶりが伺えます。
そういう意味に於いては、本作は“ハリウッド映画”のマルチバースを繋げた様な作品にもなっており、古い映画ファンにはたまらない作品に仕上げていましたよ。

あと、主役のロバート・パティンソンって過去作結構観ていました。並べて見ると作品毎の印象が全く違うのでかなりのカメレオン俳優ですね。キャットウーマンのゾーイ・クラビッツも魅力的でしたが、コリン・ファレルは言われても分からなかったので、あれはメイキャップ賞でしょ(笑)
しかし、ラストシーンでリドラーが刑務所で会話していた相手は当然あの人でしょうし、それで続編を匂わせていましたが、ここまで完成度が高いと続編はいらないと思いますよ。でも、ニュースで「ザ・ペンギン」のスピンオフの制作が決定だそうですが、それは良しとするか…

コメントする
シューテツ