「良く言えば期待どおり、悪く言えば期待を越えない。」THE BATMAN ザ・バットマン alphaさんの映画レビュー(感想・評価)
良く言えば期待どおり、悪く言えば期待を越えない。
言わずとしれたバットマンのリブート。
マーベル系とは一線を画すようにリアルな作風に寄せて来てるのは、ただの住み分けなのか、ダークナイトやジョーカーがヒットしたことを受けてなのかは分からないが、個人的にはこちらの方が好みではある。
ロバート演じるバットマンもなかなか。悩み事多めで寝れてないんだろうな感が伝わってくる。
それと、あっさりヴォルデモートに殺されてしまった過去を思えば、大分強くなったなぁとしみじみ。
ゾーイのキャットウーマンも好み。
コリンファレルのペンギンはもうあれが本物なんじゃないかと思う出来。
アクションシーンは悪くない。カーチェイスは特に良かった。ただ、空を滑空して高架に引っかかるシーンはかなりチープなCGでカットした方が良かったと思う。
ストーリーは、ミステリー物。
連続殺人事件にウェイン家やゴッサムの要人たちのスキャンダルが絡んでくるという、ありがちな話だが見応えはある。ただ、殺される順番や殺し方、標的など一貫性がありそうでなかったり、暗号もちょっと下らないクイズだったりと純粋なミステリー物として見てしまうと少し物足りなく感じる。
また映画の主題に関連する点でも疑問符がつく。
リドラーがバットマンの正義感に感化されて犯行を行い、バットマン自身もその一端を担わされていたことが、従来のヒーロー映画・勧善懲悪に対する重要なアンチテーゼであるはずが、その点について特に悩むこともなく最後の独白で、これからもっと成長していきます、って終わり方だったのは拍子抜けしてしまった。
全体的にリアルな雰囲気には寄せているが、あくまでもエンターテイメント映画であり、ダークナイトやジョーカーほどの鬼気迫る雰囲気はない。そっちに振り切ることも出来たのではないかと思うが、そこはバランスをとったのか、出来なかったのかは判断が付かないが、そこを振り切っていればミステリー的な穴は気にならなかったかもしれない。
総評として、ストーリーや演技など多くの要素が上手くまとまっており期待を裏切らないが、良くも悪くも期待通り。想定は越えない。つまるところ、傑作にもなれたかもしれない佳作というところか。