「【“聖歌、アヴェ・マリアは富める子にのみ響く・・。そして、真の変化を求めて。”今作は壮大な娯楽大作で有るとともに、格差社会の闇を抉った社会派作品としても十二分に通用する、重厚で見応えある作品である。】」THE BATMAN ザ・バットマン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【“聖歌、アヴェ・マリアは富める子にのみ響く・・。そして、真の変化を求めて。”今作は壮大な娯楽大作で有るとともに、格差社会の闇を抉った社会派作品としても十二分に通用する、重厚で見応えある作品である。】
ー 今作では、主に二つの曲が流れる。
一つは美しいソプラノで歌われる聖歌、”アヴェ・マリア”であり、もう一つは、”ニルヴァーナ”の陰鬱極まりない、故カート・コバーンが物憂げに歌う”サムシング・イン・ザ・ウェイ”である。
今作では、この二つの曲の使われ方が絶妙に巧い。
知能犯リドラーにより殺された市長の葬儀では、涙する市長の息子の姿と共に”アヴェ・マリア”が流れる。
”聖母(マリア)よ、子の嘆願を聞いて下さい・・。”
そして、序盤とラストでは陰鬱極まりない故、カート・コバーンが物憂げに歌う、”サムシング・イン・ザ・ウェイ”が流れる。
”橋の下の、粗末な掘っ立て小屋で・・。防水シートが漏れを引き起こした・・。”
今作は、格差社会が生み出した哀しき物語と歌詞のシンクロ具合が絶妙なのである。-
◆感想
・不器用で、殺された親への復讐の念に駆られる一歩間違えれば、ダークサイドに落ちそうな危うさを抱える若きバットマンことブルース・ウェインをロバート・パティンソンが笑顔を封印して見事に演じている。
・知能犯リドラーが現市長を”床を剥がす金属器具”で殴り殺した後に、銀のテープで顔をグルグル巻きにしてその上から描いた言葉。
”嘘は沢山だ・・。”
・そして、警察本部長、地方検事が次々にリドラーに殺されていく。
- 三人が善人の顔の裏で行っていた事が、徐々に明らかになっていく過程が、サスペンスフルであり、引き込まれる。何が善で、何が悪なのか・・。-
・キャット・ウーマンの描き方も良い。バットマンには素顔を曝すキャット・ウーマンことセリーナ(ゾーイ・クラヴィッツ)。そして、彼女の哀しき過去が明らかになり・・。
- キャット・ウーマンは過去作では謎の女怪盗として描かれていたが、今作は一人の女性として魅力的に描かれている。ブルース・ウェインもそんな”似た者同士”の彼女に惹かれていく・・。-
・序盤はサイコキラーとして描かれていたリドラーが、ブルース・ウェインと対峙した時に言った言葉。
”同じ孤児なのに、一人は光輝くビルの中で、悲劇の子供として同情を集めていた。が、俺たち孤児院に居た300人の気持ちがお前に分かるか!”
- リドリーを演じたポール・ダノの演技も光る。
まさかのポール・ダノの起用に驚きつつも、彼が孤児院で育ったリドリーを演じた事で、今作が、只のサイコキラーの物語ではない事が分かるし、リドリーが何故に”再開発”の名の下、私腹を肥やしていたマフィアのドンを摘発する手助けをしたマフィアに取り込まれ、ダークサイドに落ちた本来善なる人であるべき、市長、警察本部長、地方検事をターゲットにした理由も・・。-
・リドリーが仕掛けた腐敗し切ったゴッサムシティを水没させようとした、防波堤爆破シーン。
ゴッサムシティに流れ込む濁流。市長選で盛り上がっていたシティ中央部に逃げ込む人々を”多くのリドラー(孤児達・・。)”が銃撃するシーン。
- バットマンは自ら水に浸かり、人々を救出する。スーパーヒーローとしてではなく、一人の人間として・・。-
<今作は、壮大な娯楽大作で有るとともに、格差社会の闇を抉った社会派作品としても十二分に通用する重厚で見応えある作品である。
ラスト、失意に暮れるリドリーに隣から声を掛けて来た男の姿。
この作品のハイレベルさを維持した次作を期待したい。>
NOBUさん、こんばんは。
三重県民なんです。
最近はミリオン座あまり行けてないんです。学生の頃は昔のミリオン座やシネマA、シネチカ、シネマスコーレ、シルバー劇場、ゴールド劇場、旗矢シネマとかよく行ってました😁
バットマン、NOBUさんのレビュー読んでから観に行けばよかったと思ってます。
今までのバットマン、意識せず観ようと思って行ったのですが、浮かんできちゃいましたね。
これから徐々に新しいバットマンに慣れていくとは思いますが。
今作のキャットウーマンは、落ちかけたバットマンマンを引き上げることが出来るなんて、力待ちでしたねっ💪🏻
こんばんわ
今回も読んでくださってありがとうございます!
第一弾バットマンのときプリンスがサントラ出してました。この頃テレビのワイドショーで映画の宣伝してる時にプリンスの歌も流れてて、良かったんですよねぇ。暗い感じはしない歌です。映画の中で起用されていたのかは、そう言えば謎。。私も見返してみます。
あと、リトルレッドコルベット大好きです!これでプリンスのファンになりました。
〉壮大な娯楽大作で有るとともに、格差社会の闇を抉った社会派作品としても十二分に通用する重厚で見応えある作品である。
そうですね。暗く鬱々とした作品なので評価は大きく分かれそうですが😅
アヴェマリアが使用された理由、楽曲と物語がここまでリンクしているとは知りませんでした。
それと、リドリーを演じたポール・ダノ
ただのサイコパスではない狂気的な絶妙な演技、引き込まれました。
ゴッサムシティの公務員は、なんだか半分以上賄賂貰ってるように見えるから、ラストのあの場所も、いきなりランプが消えて開錠されて…、なんて冷や冷やしてました🤣
次回作、大いに期待‼️