劇場公開日 2022年3月11日

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「大ヒット作「ジョーカー」に寄せる方向性はアリだとは思うものの、割と賛否が分かれそうな「バットマン」リブート作。」THE BATMAN ザ・バットマン 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0大ヒット作「ジョーカー」に寄せる方向性はアリだとは思うものの、割と賛否が分かれそうな「バットマン」リブート作。

2022年3月11日
PCから投稿

「バットマン」映画で最高峰だと思われる作品に「ダークナイト」があります。ただ、そんな「ダークナイト」に引けをとらなかった作品に、第92回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚色賞を含む最多11部門ノミネートまでした「ジョーカー」があり、本作は「バットマン」のリブートに際して、この「ジョーカー」に寄せてきた感があります。
とは言え「ジョーカー」ほどのリアリティーは、そう簡単に作れるものではないと再確認できた作品でもありました。
まず良かったのは、ポール・ダノ扮する知能犯リドラーが謎解きをさせるという見せ方で、何とか状況が散漫にならずに済んだ点でしょうか。そして、飄々と猟奇的な雰囲気を醸し出せるのは「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」などと同様に、流石のポール・ダノでした。
また、「TENET テネット」のニール役でも活躍したロバート・パティンソンも、バットマンに合っていたと思います。
ただ本作の作風は、全般的に画面も含めてほの暗く、私は(実在の未解決事件を描いた)デビット・フィンチャー監督の「ゾディアック」という作品を思い出していました。私は「ゾディアック」も好きなのでいいのですが、王道の「バットマン」において、このトーンは、やや一般受けしづらいのではと感じました。
また、本作ではほぼ覆面スーツだからなのか、バットマンの覆面から見える素顔の部分が広くなっているような印象を受けました。
そもそも、ブルース・ウェインはゴッサム・シティで最も有名な人物です。
そしてロバート・パティンソンは顔も独特な美形なので、世間が「バットマンが誰なのか気付かないのはおかしいのでは」という懸念は消えませんでした。
このように、ややリアリティーに欠け、キャットウーマンとの関係性も含め必然性と共に魅力が描き切れていない印象。
とは言えクリストファー・ノーラン監督版の「ダークナイト」前の「バットマン ビギンズ」もそこまで出来が良かったわけではないので、次回作でどんな方向転換があるのか期待して待ちたいと思います。

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細野真宏