「inevitableだったように思える4作目」マトリックス レザレクションズ image_taroさんの映画レビュー(感想・評価)
inevitableだったように思える4作目
改めて三部作を丁寧に鑑賞してみてから、本作を観てみると…今作は過小評価されているようだが、三部作のシナリオをよく踏まえた上で、十分に必然性のある筋書きになっているし、三部作で平和のために犠牲になって命を落としたはずのネオとトリニティには三部作の結末を覆すような悲劇的ではない後日談となっており、ある意味では2人に幸せなラストを迎えさせたいという願望を叶えたかったのかも…なんて思ったりもするが、今作のこの終幕が自分にはとても心地良く幸せな気持ちになったし、願望に基づく筋書きだとしても「これがいい!」と強く思ったことは否定できない。何故なら、三部作に伴っていた痛烈な痛みをまるで癒すためかのような、回復のための物語になっているからだ(これもまた過酷な筋書きで、決して安易なものにはなっていない。回復のプロセスは痛みを伴うということを避けていない)。
三部作を台無しにしたとのレビューもちらほら目にするが、今作を踏まえると、三部作はヒーロー達が犠牲になって平和になりました、以上終了!という風に終わったように見えてくるのが不思議だ。これを覆えして、その先のネオとトリニティの物語を想像させるかのような心地よい余韻を響かせる4作目のラストの方が、この物語の締め括りとしてむしろより望ましいものになった気がする。2人の人生はまだ続いていくのだ…それが困難な道であっても。
この4作目に至って、マトリックス・シリーズがより一層優れたサーガになったと私は思っている。