劇場公開日 2021年12月17日

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「メタフィクションだったマトリックスのメタフィクション」マトリックス レザレクションズ ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0メタフィクションだったマトリックスのメタフィクション

2022年1月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

個人的には星2つである。しかし、ダメダメな映画とは思わない。むしろ「マトリックス」というコンテンツを使って、今新たに続編を作るとなれば、このテイストは無しではない。リブート、リメイクでもなく、正統な続編という意味では高く評価したい気持ちもある。

しかし、あえて高く評価することは避けたい。本作のネオは監督自身のアバターであるに過ぎない。過去作の映像を数珠繋ぎにした上で、本作の新概念を対比させ、コンテンツとしての「マトリックス」とは何なのかをネオというキャラクターを使って現実への皮肉を交えて代弁させる。なるほど!と思う反面、それならば、約20年ぶりにシリーズを監督と見返すドキュメンタリーの方が良かったのでは?と首を傾げてしまう。

監督の訴えをメタフィクションに置き換えたことを是とするか非とするかで賛否が分かれる。これは映画・舞台業界の明暗を独自の演出で描いた『バードマン』にも通ずるところがある。しかし、それを理解したとしても、冗長な展開はテンポが良いとは言いづらく、胸躍るアクションシーンはひとつもなかった点にはどうしても落胆の色が隠せない。後半のバイクチェイスシーンも映像が暗くて分かりづらいきらいがあり、どうにもイマイチ気分がノってこないのだ。

無論、1作目にあったような弾丸避けをしても何ひとつ新鮮味はなかっただろうが、電脳世界というプロットだからこそできる自由度の高いアクションこそが、このシリーズの魅力であったと思っている。それを敢えてしないのもスマホゲームのような単純なものの方が今はウケるというひとつのアイロニーなのかもしれない。どこまで監督の訴えに共感し、オブラートならずマトリックスに包んだ皮肉を楽しめるか?その真実を知るには劇場に行くしかない!

Ao-aO