「期待強めなだけに、ちょっと残念」マトリックス レザレクションズ じきょうさんの映画レビュー(感想・評価)
期待強めなだけに、ちょっと残念
マトリックスと言う世界観はここでもいかんなく発揮されている。
しかし、マトリックスに私たちが求めるものは時代の変遷と共に変わってきたのだなと強く感じる。
そもそも、監督だったウォウシャウスキー兄弟が、姉妹になっていただなんて絶句。ラナは兄の性転換後の名前だった。てっきり妹かなんかだと思って、「そうかあ」とハードルを下げていたのだが、実は本人じゃん。弟もカミングアウトして、既に子持ちの妻帯者だったけど女性化したんだって。
そんなこんなの時代背景が影響したのだと思われるね。
結局、マトリックスで斬新だった緑の文字が縦におりてくる描写も、「コマンドプロンプト」を見たことの無い今の人たちには実感を伴って見えないでしょ。
だから鏡を使う。古典的。鏡の中の世界に憧れた人も多いと思う。これは共感できる。また、新しいテクノロジーを取り入れ、磁性体粒子のようなAIとか、ゲームとしてのマトリックスとか、いい線をついている。
でもね。
トリロジーは「覚醒」「マトリックス世界における戦いと現実の戦い」「マトリックス内でのネオの役割と救世主」てな所かな?
ここで大きく外して欲しくないのは、ネオとスミスの関係性と戦いだと思うんだよねー。
今回はネオとアナリストの戦いだけど、そこにスミスが絡んで三つ巴の戦いになる。思わず言ったよ「諸葛孔明かよ」
完全に覚醒しないまま戦うしかないネオはスミスと戦ううちに次第に強くなる。でも、トリニティ救出作戦の時に「そろそろ空飛べる?」と訊かれても、行くのか?と思わせといて「まだダメみたい」とか、クローンでもないのにとぼけたことを言う。ビルの屋上から飛び出す時も、何故かとべたのはトリニティの方。うーん、こういうことではないよなあと思う。
全体的には紛うことなきマトリックスですが、前半はちょっと退屈するところもあり、後半のアクションも斬新さがない。やはり、出がらしに見えるのは致し方ないか。
ところで内容は複雑怪奇なので、映画comの編集長による解説をご覧になると良いと思う。