「面白かった」マトリックス レザレクションズ SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
面白かった
無難に面白かった。
それなりに工夫されたストーリーでもあると思う。
ただ、無理やり作った4作目、という印象を超えるものではないし、もちろん1作目を観た時のような、新しさや哲学性やSF的アイデアへの感動みたいなのはなかった。
もし、「1~3作目のマトリックスの世界は実はゲームでした」みたいなオチだったらそれなりに衝撃を受けたかも(そのストーリーに「驚かせる」以上の意義はないが)。
僕がマトリックス4に期待していたもの…。
・3では実は完結していなかった、という必然性を感じさせるストーリー。
・マトリックスの世界観を舞台装置とした、今の時代ならではのテーマや問題提起。
・監督の思想の進化(深化)を感じさせる新しさ。
…少なくとも、こういった期待を満足させる映画ではなかった。「アニマトリックス」の方がまだ上記のようなものを目指しているところはある(ハードルを上げすぎてしまったのも悪かったが)。
その代わり、映画作りに対するメタ的なセリフがやたら多かった。たぶん実際にこの映画のアイデアを会議しているところをやや誇張気味に再現したものなんだろう。監督の本音はここにこめられていると見た。
一言で言えば、「馬鹿ばっかりのくだらねえ世の中になった。こんな世の中じゃいい映画なんか作れない」ってことだろう。
そんな老人の愚痴みたいなものコメディタッチで聞かされても、ちっとも愉快な気持ちには成れない。昔と今じゃいろいろ違うことはあるだろうけど、「文句なく面白い映画」というのは時代を超える普遍性があると思う。旧作の「マトリックス」は間違いなくそういう普遍性があった。