劇場公開日 2021年6月18日

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「冒頭10分間だけでも元が取れる、主演ではないのにデューク真田の代表作と言っても過言ではないコロナ禍に咲いた徒花バカアクション」モータルコンバット よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0冒頭10分間だけでも元が取れる、主演ではないのにデューク真田の代表作と言っても過言ではないコロナ禍に咲いた徒花バカアクション

2021年6月22日
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鑑賞方法:映画館

17世紀の日本のとある村で妻子と静かに暮らす白井流の忍者ハサシ・ハンゾウのもとにビハンと名乗る男が現れ一族郎党を皆殺しにする。時は流れて現代、胸にドラゴンの痣を持つ総合格闘技のファイター、コールは惨敗した試合の後控え室で見知らぬ男に声をかけられる。ジャックスと名乗るその男はコールと同じドラゴンの痣を持っていた。実はその痣を持つ者は太鼓の昔から魔界の戦士達と格闘トーナメント“モータルコンバット”で戦うことを運命づけられた戦士であり、魔界の皇帝シャン・ツンはその戦士達をトーナメントの前に処刑すべく刺客を送り込んでいるのだった。そして彼らの前に姿を現したのがかつてのビハン、サブ・ゼロだった。

というようなハナクソみたいなプロットは正直どうでもよし。我々がわざわざIMAXスクリーンをチョイスしたのはデューク真田こと真田広之の勇姿を観るため。思えば平成とはデュークのアクションのない空虚な時代。『ラスト・サムライ』辺りからハリウッドに活動拠点を移しながらも我々の期待に応えることなく、『アベンジャーズ/エンドゲーム』ではホークアイに土下座する醜態を披露。我々はもうデュークの勇姿を観ることなく寿命を全うするものだと諦めていたわけですが、そんな虚しさ極まる平成をなかったことにするかのような冒頭10分間の死闘の凄惨な美しさに圧倒されました。死闘の相手ビハンを演じるのは『ザ・レイド』で漢気漲るSWAT隊長を演じたジョー・タスリム。主演作『シャドー・オブ・ナイト』に匹敵する狂気を滲ませた演技は見事で、デュークの敵役として十分な魅力を発揮していました。正直この10分だけ観てから席を立っても全然元が取れる完成度でした。

その後続くお話はもうバカがハナクソほじりながら書いたような話で、レベルとしては実写版ドラゴンボールこと『DRAGONBALL EVOLUTION』とドッコイ。しかしそれでも見応えがあったのはただ眼球が光るだけの浅野忠信の功績ではなく、一応主人公であるルイス・タンのキレのある武闘スキルにあります。残念ながら本作ではそのスキルの20%も出せていませんが、彼の潜在能力を示すプロモーション映像としては一級の出来だったと言えるでしょう。少々オールドファッションなイケメンですが今後が期待される若手アクションスターは非常に少ないので今後の活躍に期待したいところ。そして予告にも映像があるのでネタバレにはならないかと思いますが、デュークにはまだ出番がありますので最後まで席を立たないようにしましょう。

とにかく昭和の東映アクションの有終の美を飾った最後の昭和スターであるデュークからジョー・タスリムとルイス・タンにバトンが渡される映画なので、ところで肝心のモータルコンバットはどないなっとるねん?という野暮は挟まないのが礼儀だと思います。ごちそうさまでした。

よね