「感動の実話フォーマットの行間から覗くいびつさ。」ドリームプラン 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
感動の実話フォーマットの行間から覗くいびつさ。
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主演とプロデュースを兼ねていウィル・スミスがこの物語、というか実話のどの部分に強く惹かれたのか、その意図はわからないが、素直に美談として受け取るには、ずいぶんいびつな話だとは思う。もちろん、いびつであることが悪いわけでもなく、なんならマイノリティと父性という檻に閉じ込められた男が、間違っていようとなかろうと信念を貫こうとするスコセッシ映画的な主人公の物語なのだと思う。戸惑うのは、そこに批評的な視線が向けられているのかがよくわからないまま、ハリウッド映画的な感動実話もののフォーマットに落とし込まれていること。似たフォーマットを流用して、あきらかに間違った人物を描いて怪作となった『ファウンダー』のような凄みはないが、このリチャード・ウィリアムズという人物の白黒つけられない奇妙さは確かに作品に残っていて、作り手の意図の有無に関わらず、偉大な実話とされるもののグレーゾーンが感じ取れたことを評価しています。あ、ヴィーナスとセリーナ姉妹に黒人の希望が託される展開には、素直に熱くなりました。
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k_keitaro a.k.a. 立ち飲み警察さんのコメント
2022年4月9日
まるでアカデミー賞のあの一件の評しているようですね。
あの行為を美談とする論調の歪さと同じものを感じます。
ウィル・スミスは"良い父親”を好んで”演じる”傾向があるので、その辺の役者のエゴが見え隠れするからノイズになるのでしょう。