「名作たちの元ネタ」DUNE デューン 砂の惑星 SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
名作たちの元ネタ
原作未読、リンチ版未鑑賞。
はじめてDUNEを知ったのは「ホドロフスキーのDUNE」から。
このとき、スターウォーズをはじめ数々の名作SFの元ネタ、原点にして至高ともいうべき偉大な作品、DUNEの存在を知った。
その壮大さゆえに映像化が難しい、とも言われてきたらしいので、今回の映画は否応にもハードルが上がってしまう。
見終わった印象としては、高級なコース料理を食べたかのような満足感。スターウォーズのようなユーモアの要素が一切ない、真面目で一部の隙もない丁寧な仕事って感じ…。
様々な独特な道具や機械が出てくるけど、特にトンボ型の飛行機は面白い。本当にこういう仕組みで飛ぶ飛行機とかありそう、と思わせる。
世界観がとても丁寧に織り上げられている感じで、素晴らしい。様々な作品の元ネタになっているんだろうな、という視点で観ると面白い。
特にナウシカはかなりDUNEに影響された作品だったんだな、ということに気づく。世界観だけでなく、テーマやストーリーにも類似した点が多くある。
最近の作品では三宅乱丈の「イムリ」も似ている。多くの優れたクリエイターが、DUNEの感動を再構築して自作品を作った、ということか。
スターウォーズとDUNEで違うところは、ユーモアがない、ということの他では、「厳しい自然」ということがある。
DUNEの世界では敵よりも自然の方が脅威となる世界であり、自然との付き合い方、というのが大きなテーマとなる。恐ろしい自然の象徴ともいえるのがサンドワームで、恐ろしいだけでなく畏怖される存在という意味ではナウシカの王蟲の元ネタなんだろう。
ストーリーは「死の運命」「待望された救世主」という、ギリシャ悲劇を思わせるもの。この先主人公には過酷な運命が待ち受けていて、ハッピーエンドは無いんだろうな…。
こういう真面目かつ暗いストーリーは昨今受けない傾向にあると思うが、ぜひヒットして次々に原作が映画化されていったらいいなと思う。
こんな気合いいれて作られた映画なので、あと一回くらいIMAXで観てみたい。
この世界の固有名詞、用語、道具とかは軽く調べてから観たほうが良かったかも。
メランジは「恒星間飛行に不可欠」みたいなこと言ってたから、燃料みたいなものだと勘違いしていたが、抗老化物質だったのか…。長期間の飛行に必要ということね。ほかにもこれがどうやってできるのかとか、超能力との関係とか、重要。
あと、銃火器が存在する世界なのに剣術での戦闘があることに合点がいかなかったが、これは「シールド」が、素早いものは防ぐが、遅いものは防がない、という設定だからなのだね。
綿密に作り上げられたSFというのは、こういう考察する要素があって、ちゃんとその解答が用意されているから面白い。