「羽ばた機は砂漠に不向きだよね」DUNE デューン 砂の惑星 カツベン二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
羽ばた機は砂漠に不向きだよね
言わずと知れたSF小説不朽の名作の実写映画。
リアルタイムでリンチ版を劇場鑑賞、ホドロフスキーのDUNEも数十年前に1度ビデオ鑑賞している身としては現代技術でどこまでその世界観を映像化できるのか期待せずにはいられず、今年一番待ち遠しかった作品。
あえて事前情報をいっさい仕入れなかったこともあり、まず冒頭のタイトル下の表示を見て本作がパート1にあたるということを知りひっくり返った。
リンチ版と対等に評価されるべき作品と勝手に決めつけ、1作で完結することがルールかのように思っていた自分に反省しつつ、砂漠のシーンではロケなのか、セットなのか、CGなのか全くわからないがとにかく美しく広大な映像に胸を打たれた。
劇中にはベネ・ゲセリットやクイサッツ・ハデラッハなど独特の宗教観や哲学から説明するのも難しい用語やそれらにまつわるシーンが多く出てくるが、鑑賞者にある程度の知識や読み取る能力がある事が前提での割り切った演出はさすがドゥニ・ヴィルヌーヴと言いたい。
ブレードランナー2049でも見せたオリジナルから大きく逸らすことのない演出は本作でも同様であったが、中世貴族社会がモチーフに対し正座してのお辞儀、鯉のレリーフ、和傘など所々にジャパニーズテイストを盛り込んだディテールなどのチャレンジも評価したい。
が、いかに2部構成が許されていたとしてもやはり155分であの進行具合はいただけない。
少なからず何度か中だるみを感じた分、もう少し短くまとめることができたのではないかと思う。
本作は映像化の難易度から数十年に渡り幾度も頓挫するといった歴史的背景があることから、映像や演出面を中心に語られるべき作品と考え、あえて役者の演技や雰囲気についてはここでは述べないことにするが、レベッカ・ファーガソン、オスカー・アイザック、ハビエル・バルデム、ジェイソン・モモア、ステラン・スカルスガルド、ジョシュ・ブローリン、シャーロット・ランプリングなど錚々たる役者がキャスティングされ、映像化の挑戦という意義の他、配役だけでも見る価値のある作品と言っても良い思う。