「予期せぬ面白さ、楽しさの拾い物」魔女がいっぱい もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
予期せぬ面白さ、楽しさの拾い物
①アン・ハサウェイの大熱演というか大怪演。思いっきり笑わせてくれた。もしかしてキャリア一番?、少なくとも「何でアカデミー賞受賞?」と思った『レ・ミゼラブル』よりずっと良い。もうそろそろ若さも無くなってきたので、あの派手な顔はこれから難しいだろうな、と思っていたがこれからはこういう路線が良いかも。②子役と絡む芝居以外は殆んど一人芝居だったはずのオクタヴィア・スペンサーも相変わらず上手い。映画をどっしりと支えている。③「ネズミナール」(なかなか冴えた和訳)を飲んだ魔女たちが次々とネズミに変わっていくシーンは『キングスメン(1作目)』で自分達さえ助かれば良いと残りの人類を切り捨てたセレブたちが結局頭を花火のように破裂させていくシーンに負けず劣らずの楽しさ。こういうシーン大好き!④ロバート・ゼメキス(『ロマンシング・ストーン』大好き ※『プリンセス・ブライト』はロブ・ライナーでした。お恥ずかしい。)は生きの長い監督だか、堅実な演出の腕は衰えてはい。⑤他の呪いに関する映画と違って大魔女をやっつけても人間の姿に戻れない展開は予想外でファンタジーらしからぬややビターな味わい。ラストお祖母ちゃんと同じくらい歳を取っちゃた“ぼく”の姿に一瞬ペーソスを覚えるが「なっちゃったものは仕方がない。運命だと受け入れて前に進むしかない」というメッセージが救いとなる。⑤食い意地が強いため何かと足を引っ張るブルーノがコメディリリーフとして思ったより面白くないのが残念。ラスト、家族となったお祖母ちゃん、ぼく、デイジー、ブルーノが1968年の話なのに『We Are Family』に合わせて踊るのは、わかるんだけど時代が会わないんじゃないの突っ込みを入れたくなったけれども、これだけ楽しませてくれたら良しとしましょう。⑥脚本にギレルモ・デル・トロが加わっているのも面白くなった一因だろう。