「中盤までは最高、結末は…」霧の中の少女 KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
中盤までは最高、結末は…
結末は好みが分かれるかなぁ…もちろんこの作品のように結末に後味を悪く残す作品はいくらでもあるが、個人的には今作の結末は不満を感じてしまった。
ストーリーは少女の誘拐失踪事件。
その事件の担当となったヴォーゲル警部が過度にマスコミを煽動し犯人を動揺させ炙り出すやり方でストーリーは進んでいく。
しかし中々確固たる証拠は出てこない。
早い段階でマルティーニ教授が犯人と目をつけ対決していくわけだが、話の冒頭や所々でヴォーゲル警部がジャン・レノ演じる精神科医となにやら訳がありそうなシーンが挟まれる。
過去にヴォーゲル警部は容疑者を犯人と決めつけ行き過ぎた捜査の結果冤罪をかけてしまったという過去描写があるだけに、これはもしやヴォーゲル警部が?なんて少しは思うこともあったが、動機やら彼の犯人を追う姿にやはり早い段階でそれはないだろうなと確信しながら見れてしまう。
そうなると殆ど登場人物が出てこないあたりからどうしても犯人はマルティーニ教授しか見当がつかない。
ならばなにか驚かせるトリックを仕掛けて犯行に及んだのかと中盤まで非常にワクワクさせられる。
話が進むにつれてマルティーニ教授の姿も悪として描かれていくわけだから。
しかし結果としてはマルティーニ教授が犯人に変わりはないのだが、あまり大きなトリックはなかった。
そしてジャン・レノ本人も過去の誘拐事件の犯人だったと最後に畳み掛けるあたりもあまり本筋とは大きく関わりを感じることなく必要性も感じられなかった。
マルティーニ教授が仕向けた、あえて犯人と疑いをかけて警察を返り討ちにする策は非常に面白く興味深かっただけに、その内容、結末があっさりしてたのは不満に感じてしまった。
最後はヴォーゲル警部がマルティーニ教授が法の下では犯人ではない段階で殺害し警部が犯人として話は終わる。
少女(の死体)の行方も分からず、また過去の失踪事件の犯人であるジャン・レノはそのままというバットエンドで話は終わった。
個人的には結末があまり面白く感じることはなかったが中盤まではハラハラドキドキした展開で非常に集中して鑑賞することができた。その点は良かった。