「【"いつか、素晴らしい朝が彼女達に訪れますように・・。"男性優位のイスラム教国で、二人の女性がお互いに支え合い、必死に生きる姿を描いた作品。】」モロッコ、彼女たちの朝 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"いつか、素晴らしい朝が彼女達に訪れますように・・。"男性優位のイスラム教国で、二人の女性がお互いに支え合い、必死に生きる姿を描いた作品。】
ー 今作は、日本で劇場公開される初のモロッコ映画だそうである。
男性優位のイスラム教国で生きる女性達の姿と、豊かな生活文化が描かれており、メディアからは伝えられないモロッコ女性の優しさ、逞しさ、抱える悲しみに耐える姿が印象的な作品だ。ー
□北アフリカ、モロッコの最大都市カサブランカが舞台。
旧市街を彷徨う、訳アリ妊婦のサミアを寡婦のアブラが渋々、自宅に招き入れる。
モロッコでは、未婚の母は認められておらず、匿った人間も罰せられる虞が有るにも関わらず・・。
アブラは小さなパン屋を女手一つで営み、幼き娘ワルダと暮らしていたが、サミアが”お礼に・・”と作ったパン、ルジザ(モロッコの伝統的なパンケーキ)が思わぬ評判を取る。
サミアはアブラ親娘と交流を深め、到頭、出産の日が訪れる・・。
◆感想
・サミアの働かせて欲しいという懇願をアブラは素っ気なく断るが、身重のサミアが店の前で眠る姿を観て、一晩だけ、と家に招くシーン。
- 実は、心優しい女性ナンだね。-
・アブラの表情には終始、笑顔がない。上記の社会構造が原因かと、思っていたが・・。
- サミアに対し、
"夫が事故で亡くなった際に、触れる事も匂いを嗅ぐ事も出来なかった。"
と、涙を流すアブラの姿。モロッコの冠婚葬祭の決まりなのかなあ・・。-
・サミアと明るいワルダは直ぐに打ち解け、サミアが作るルジザが人気で店は繁盛する。アブラも久しぶりにアイラインを引き、服装も華やかになる。
- 悲しき出来事を忘れた訳ではないが、少しずつでも、前を向いて行かないとね。-
・そんな中、サミアは出産。だが、名前も付けず、涙を流すサミア。
"自分と一緒だと、この子は幸せになれない。養子に出す。"
- モロッコの社会規範が伺える。産まれて来た子には、罪はないのに。-
・だが、幼子の可愛らしい顔を見て、サミアの心は徐々に変化して行く。
乳を飲ませ、小さな手、足の指を愛おしそうに触る姿。
ー 母が苦労して産んだ幼子に乳を与える姿は、とても美しいものである、と私は思っている。ー
<モロッコに於ける女性の地位は、国際社会の中では低いのであろう。
だが、何時の日にか、サミアとアダムと名付けられた幼子とアブラとワルダが笑顔で再会して、皆で美味しいパンを朝食で食べる姿を見たいなあ、と思った作品。
淡い光や、陰影により、サミアとアブラの心情を表現したかのような映像も印象的な作品である。>
“6000円の高級パンケーキ”は複合商業施設の中の「アイシティシネマ」で頂きました(笑)。電車もバスもない郊外のベッドタウンの映画館でして、
で、アルファロメオを手放してから“アルファロス”状態がいまだに続き、いまは原付きだけを転がしています。
土砂降りでしたのであの日は仕方なくタクシーでパンケーキを頂きに参った次第。
塩尻の「東座劇場」はバイクで5分の距離です。マルセル・マルソー上映時にはパントマイムの実演付きとのことで楽しみ。
県北の長野市の劇場はNOBU さんご贔屓の通り◎ですよね。