「アニメも好きだけど実写の方が好きだな」耳をすませば 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
アニメも好きだけど実写の方が好きだな
2022年映画館鑑賞61作品目
11月7日(月)イオンシネマ新利府
ハッピーマンデー1100円
原作未読
監督と脚本は『陰日向に咲く』『僕だけがいない街』『約束のネバーランド』の平川雄一朗
95年公開のジブリアニメ『耳をすませば』の実写化兼続編
アニメ『耳をすませば』の名場面の数々を余すことなく実写で再現
少なくとも監督は自分よりずっとアニメ『耳をすませば』が好きなのは間違いない
アニメ版の実写化とアニメで描かれた時代からの十年後
過去と現在が何度も何度も交差する
雫が作家を諦めず編集者として出版社で働いているのはわかるが聖司はヴァイオリンではなくチェロ奏者になっている
原作はそもそも画家だしまあその程度の改変は良かろう
清野菜名や松坂桃李らは十年後なのでいろいろと言い訳できるが中学時代を演じた子役の皆さんは大変なプレッシャーだったはずだ
リアルタイムで観た親から名作だと重ね重ね言われ大いに期待されただろう
特に中学時代の雫役の安原琉那は相当な重圧がかかっていたことは間違いなく彼女の熱演に泣けてくる
それなのにボロクソ叩くなんて僕にはできない
松坂桃李の演技を高く評価するわりに共演女優を貶めるレビュアーを何度か見かけることがあるがもしかして嫁の仕業じゃないかと勘繰りたくなる
今回は杉村の下の名前がわかった
なぜかアニメではメインキャラなのに下の名前がなかった
『タッチ』の達也ではなく藤竜也の竜也
きっと名付け親は『愛のコリーダ』を観たんだろう
『タッチ』のタッチはバトンタッチのタッチだが『愛のコリーダ』のバトンタッチは意味深
アニメでは『カントリーロード』だが実写ではなぜか『翼をください』に変更されている
その事情はよくわからない
元の歌の歌詞の内容とかなり違うので元を作詞した外国人からクレームが来たのかも
宮﨑駿主導で超訳されたジブリ版カントリーロードは『耳すま』ファンのあいだでは概ね好評だがアニメ『耳すま』の監督は猛反対したという
『愛の讃歌』も越路吹雪とエディット・ピアフとではだいぶ違うが言葉の表現がソフトになっただけで方向性はほぼ同じだがジブリ版『カントリーロード』はまるで違う
好きか嫌いかと問われたらジブリ版カントリーロードは嫌いだ
ならば『翼をください』はどうかといえばこれもまた嫌い
翼をくださいってツバサ大僧正に頼めばデストロンの怪人として翼をつけてもらえるかもしれないが現実的に無理な話である
悲しみのない自由な空に行きたいというので『およげ!たいやきくん』のお空バージョンか
たいやきくんはユーモラスだが翼をくださいにはそれがない
自由なんてもらえるものではない
名画『民衆を導く自由』を見てもわかるように戦い勝ち取るものだ
だから嫌いだ
イタリアで聖司から自分の部屋に誘われ同意する雫
松坂桃李の『娼年』や清野菜名の『TOKYO TRIBE』を思い出し一人ワクワクしたが白人助成が邪魔に入る好リリーフ
りぼん原作で濡れ場なんてあるわけがない
あの岡田あーみんだって男女のドロドロとしたものは描かなかった
それでも『お父さんは心配性』でお父さんがワニに下半身を食べられ半ば両足が消化されドロドロになっていたけど
エンドクレジットで『翼をください』を歌うのは杏
杏が本当に欲しいのは翼じゃなくて養育費だろうがまあいいだろう
出版社で働く月島雫に清野菜名
イタリアでプロのチェロ奏者をしている天沢聖司に松坂桃李
雫の幼馴染で夕子と結婚することになる杉村竜也に山田裕貴
雫の親友で竜也と結婚することになる原田夕子に内田理央
月島雫(中学生)に安原琉那
天沢聖司(中学生)に 中川翼
杉村竜也(中学生)に荒木飛羽
原田夕子(中学生)に住友沙来
保健室の高坂先生に宮下かなこ
雫が勤務する出版社の部長に音尾琢真
雫の勤務先の先輩に松本まりか
雫の勤務先の後輩に中田圭祐
雫の父・月島靖也に小林隆
雫の母・月島朝子に森口瑤子
雫が担当している作家の園村真琴に田中圭
雑貨店地球屋の店主・西司朗に近藤正臣
あと作家役を演じた田中圭のファッションセンスが酷過ぎた
田中圭がイメージする作家像はあんな感じなのか
あんな感じになる直前の志茂田景樹をイメージして役作りしたのかもしれない