「夢は無限大、可能性も無限大」耳をすませば サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
夢は無限大、可能性も無限大
原作もジブリ映画版も見ていない、「耳をすませば」完全初心者のサプライズです。「孤狼の血」「流浪の月」で狂気的、いや狼的な圧倒される演技を繰り広げ続ける邦画界の大スター松坂桃李と、「キングダム2」「異動辞令は音楽隊!」で今年のアカデミー賞の女優賞ノミネートは確実だろうと勝手に確信した清野菜名。そんなノリに乗っている既婚者2人が出演し、山田裕貴やら音尾琢真やら松本まりかなどの大好きな俳優勢ぞろいの本作。予告は安っぽいけど、こんなキャストなら楽しみでしかないです。そんなわけで、公開日に鑑賞したのですけど、幸せな気持ちでいっぱいになれるいい映画でした!
豪華な役者陣の演技を楽しみにしていた本作。
山田裕貴は無神経でチャラい役が本当にハマっていてやっぱり大好きな俳優だし、彼女役の内田理央とのコンビネーションも良き。音尾琢真演じる上司はやな奴!だけど、おかえりをしっかり言ってくれるし、なんか憎めない。相変わらずいい味出してくれるねぇ、この人は。いい味出しているだったら、松本まりかも負けてない。中田圭祐の無邪気さにも癒された。
何より、松坂桃李がカッコよすぎる。
最近毒のある・闇のある、陰湿な役が多かったせいか、その反動で今回の桃李がキラキラして見えて超良かった。チェロ似合いすぎ!革ジャン似合いすぎ!イタリア似合いすぎ!誠司という役に松坂桃李選んだ人、天才です!暗い役もいいけど、こういう華のあるキャラクターを演じさせてもいいものを見せてくれます。やっぱり、日本映画界には松坂桃李が必要不可欠!
一方で、清野菜名はなんか微妙。
子ども時代を演じた安原琉那は、純粋さとバカっぽさ、素朴だけど愛らしい屈託のない笑顔がたまらなく良くて、主人公・月島雫をいいキャラクターに仕立てあげてくれました。一方で清野菜名の月島雫は、なんか子ども時代とは印象が全然ちがくて、バカっぽい陽気な演技が無理しているような気がしてならない。なんか堅苦しく、キャスティングミスかな...と。でも、万遍の笑みには心温まったし、誠司と再開した時の表情は見ているこっちも同じ気持ちになれました。
役者の話が続いてしまい、すいません笑
中身はと言うと、正直パンチが弱いように思えます。筋書きは面白いし、話の構成もそこそこよく出来ているんだけど、人間ドラマとしては感動的なセリフもないし、勇気が漲るような場面もない。ラスト20分は雰囲気も良くすごくホッコリして、気持ちよく劇場を出ることは出来るんだけど、やはり物足りないかな〜。
あと、これまたラスト20分になったら向上するんだけど、なんか映像が美しくない。イタリアシーンと日本シーン、撮っている人違いますか?イタリアや良いシーンを華やかに見せたいがための、わざとなのかもしれないけど、日本の場面が妙に色合いが悪くて美しくない。清野菜名もあまり血色が良くない気が...笑 映画館クオリティに感じなかったのは残念。
だけどこの映画、見ていて自然と笑顔が零れる。
雫ってそういうことなのかな?嫌な気持ちに全くならない。やっぱり、嬉しそうだったり、幸せそうな人の顔を見るとこっちも嬉しくて幸せになれる。純度100パーセントの作品です。家族で見たらその日一日は笑顔で溢れること間違いなし!家族向け映画なのかもしれません。
色々と不満点はあるけれど、個人的にはかなり満足のいく作品でした。辛いことがあっても、そっと抱きしめてくれるような映画です。ぜひ、ご覧下さい!