「つまらないにもほどがある」さんかく窓の外側は夜 あいちさんの映画レビュー(感想・評価)
つまらないにもほどがある
家族に見たいと言われてホラーとかミステリーとかそんなのを期待してみた本作、しょうもない映像作品を見せられた気分です。
一度の盛り上がりも見せずに終盤へ行き、最後は解決したかと見せかけて次回作につなげる気があるような変な気持ち悪い終わり方をする。上辺をなぞったような人物像が、演者がどこまでこの作品に本気だったのか、ライブビューイングの舞台挨拶でもあらわになったようにも感じました。
映画としても何を見せられているのか分からない、ただ人気のある俳優を起用すればなんとかなるだろうといった内容で、どこにもこだわりを感じられない平凡でつまらないカメラワークと、新しいようで存外しょぼい幽霊描写、ホラーなら視聴者の心理描写を映像に落とし込むような工夫くらいするだろうにこの作品では皆無。この監督は原作のストーリーラインをなぞるだけで、自分の中で映像を再構成するみたいなこともなんだろうなと感じました。(私は原作を読んだことはないですが、そう感じた)
なぜ三角はどう見ても異界な存在を醸し出しているものを眼鏡を外さないと幽霊であると確認できないんだろう、視聴者向けの演出ならばもっと見せ方はあるはず。目が悪いなら、他は人物はぼやけているのに幽霊だけはハッキリ映るとか。家族の意見は、幽霊はレンズ越しだと映らないんじゃないか、とか考察してたけど。違和感しか無い。そんなに嫌ならわざわざ眼鏡外してまで見なきゃいいでしょうに。
エリカはなぜ見つけられたがってたのに、半澤が見つけた時に自分でも制御しきれない呪いをかけてまで逃げたりしたのだろう。助かりたかったのに逃げる必要はないのでは?
クライマックスであろう、呪いの貯金箱の描写がただただしょぼい。ただ赤黒い毛糸が張り巡らされているだけの暗い部屋。もっと異質で異世界な空間を表現してほしかった。
滝藤さんがスクリーンに写っている時だけ映像が引き締まり、それ以外はなんとも微妙な映画でした。