泣く子はいねぇがのレビュー・感想・評価
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だらしのない自分は身につまされる思いで見ていた。 ちょっときつかっ...
だらしのない自分は身につまされる思いで見ていた。
ちょっときつかった。
寂しいけど良い映画。
半人前の主人公が出したラストに心震える、父になったらまた観てみたい
父になったらまた、見方は変わるのだろうか。まだまだ半人前の私には、共感ばかり覚えてしまった。それでも、ラストに心を震わせているのは、紛れもない興奮なのかもしれない。
たすくは、なまはげの行事の席で失態を犯し、逃げるように都会で暮らした。何もないことを自覚しながらも、不器用なりに過去と未来に向き合うことを決めて動き出すが…。仲野太賀が魅せる哀愁と、未熟さを感じさせる挙動の数々。口数は多くないものの、垣間見える"半人前"な姿に、他人事ではないような気がしてならない。私もはたちで、「子供が生まれたら父になれる」なんて浅はかな幻想を持っていた。しかし、なれるはずはない。環境がいくら変わろうとも、自分が変わらない限り、無意味なのだ。男鹿に流れる優しい時の流れと自然、その過程で移ろうたすくの心に、じんじんと心が暖まってゆく。
仮面を被らないと父になれないひとりの男の、不器用で暖かいドラマ。父になったら観てみたい。たすくの姿を再び観たとき、私にはどう映るのだろうか。
大好きな作品
もうこれは大好き過ぎる映画でした。
佐藤快磨監督、初の長編映画でありながらこの傑作というかクオリティというか…脱帽です。この脚本を読んでとても魅力を感じた是枝裕和監督やその団体が企画・協力をし、秋田の人達の協力も果て出来上がった作品。(佐藤監督は、脚本・監督・編集を自ら行う是枝監督等と同じスタイル)。男というもの女というもの、人間というものや郷土や伝統、しきたりなどの色々リアルなところを、良い所も悪い所も炙り出して描き出していて。それでいてエンタメとしての魅力もあり、観た人の心を掴んで離さない1本の傑作映画に昇華させてて、この映画に出会えて幸せだと思った。
舞台は秋田。子どもが生まれて父となった主人公たすくは、伝統芸能のなまはげに参加するために地域の人達と大晦日の夜に繰り出していくのだけど、そこで犯してしまった自らの失態のせいで、嫁からは見離され地元には居られなくなり東京へ逃げるようにして行くが、やはり家族に会いたいという想いで数年後また秋田へ戻るが…といったストーリー。
主人公が精神的に底の底まで落ちて(その分周囲の人間達は更に辛い状態になってますが…)、そこから成長して這い上がっていくストーリーかと思いきや、そういう訳ではなく…。家族の為に何とかしたい、家族と一緒に居たい、っていう気持ちは強く持っているし、酷い人間性があるわけではない男だと思うんだけど、家族や周囲が納得出来るような感じには動けず、且つ男性本来なのか自身が本来持ち合わせているものなのか、甘えた部分や大人・親になり切れない部分があって、そういった言動もさり気なく見え隠れさせている感じが、脚本・演出や仲野太賀の俳優としての力として濃ゆく出ていてめちゃくちゃ良かった。勿論太賀だけでなく、嫁さん役をしていた吉岡里帆も、太賀の母親余貴美子や兄の山中崇も、友人役寛一郎も、父親代わり的な人でもあったなまはげという行事や地域をまとめている柳葉敏郎も…。凄く良かったよ、俳優としての経験値や魅力やその役として生きている姿が惜し気もなく出てて、目が離せなかった。
私が知識と映像だけで知っている「なまはげ」というものも、何故最初はなまはげの映画なの?という疑問があったけど、秋田出身でもあり父親という存在が居なかった生活の経験者でもありクリエーターでもある佐藤監督の思いや家族・父親観などをパンフレットで読んでみて、凄く納得して興奮したし、映画が更に魅力的なものに思えた。そしてラストシーンも、太賀扮するたすくがなまはげを通して、家族と家族でいる事が難しかった主人公の純粋な色んな思いが爆発していて、マジで名シーン過ぎました。映画観た後に予告編を観ると泣けてしまうし、タイトルだけでも泣けてしまう。
この映画の魅力は語り尽くせないぐらいあって他にたくさんあるんだけど、とりあえず今の私から言えるのは太賀という俳優が本当に素晴らし過ぎて…
今年は色んな映画に出てて全て良い仕事してるけど、「生きちゃった」「泣く子はいねぇが」は両方とも主演でもあり同じ"家族"というテーマの映画でもあるので、自分が映画館持ってたら2020年・太賀傑作映画として二本立てにして上映したいよ笑。
公開待機中の、西川美和作品も今泉力哉作品も、よくぞこの監督作品に出てくれたよ最高!って感じで今からもう褒め称えたいです笑。
初日舞台挨拶も、ほんと太賀だった!最高だよ…好き。
男の純情(対話劇風評論)
😊たすく
評価ありがとう。この映画で一番幸せだったのは佐藤監督と出会えたことっだったっす。
😁ソルト
貴方の成長は見事なまでに、スクリーンに映し出されていました。最後のシーンは涙無くして見れませんでしたよ!
😊たすく
最初のなまはげの全裸疾走で、こっちは大変だったすけど、つかみはOKだと思わせる冒頭シーンだったでしょ?
😁ソルト
東京でのシーンはなにか居心地悪そうな感満載で、こっちまでいやになる位都会の華やかさ感はなくて暗かった。秋田に帰ってもなんか謝罪ツアーみたいで、大変だったですね。
😊たすく
かあちゃんと仲間の秋田美人たちはすごいでしょ?だいぶ救われたし、一番の親友がいろいろ話のってくれて救われました。
😁ソルト
ところで凪ちゃんに会って、学芸会でもう別な家族が生まれてるんだって感じた時、自分の中で何か吹っ切れたみたいだったね?
😊たすく
そうですね。自分もいろんな馬鹿やったっすけど、ここが男の一番の我慢しどころ、家族のために次のステップへとふっきり、子供っぽい態度や考えがどこか遠くなった。男一番純情で秋田で頑張ります。
😁ソルト
いろいろ楽しませていただき、ありがとうございました。
男の純情一巻 終了なり
心が震えた
是枝監督が好きなこともあり、鑑賞。
言葉は少なく、音楽も多くを語らない。
退屈な面もありつつ、何を伝えたいかを考え、感じ、観ていました。
ラストシーンは、大方予想はできていましたが、それまでの過程、役者の演技、おもい、主人公の成長、全てが詰まっており、心が震えました。
ただ、喜怒哀楽の波で表現するだけがえいがじゃない、複雑な感情を見事に伝えていた映画でした。
未練を断ち転身早いのは女のひと
NCWのOBなので観てみた。監督出身地の秋田だけに、ロケなどの空気感に実感がこもっている。
男はたどたどしく不器用で未練がましく、女は潔くさっさと見切りをつけて転身も早い。そんなことを実感させられるようなプロット。
男性も女性を見習ってさっさと未練を絶って前だけを向いた方がいいね。ほんともっとオトコは女を見習うこといっぱいある。ちょっとしたことでも、たとえばたまたま行った喫茶店のケーキが半額になってて幸せを感じてわーって盛り上がったり、相手のことにうんうんって共感したりして泣いたり、お茶しよう~って言いたいこと言い合って、で?それで?結局何?てこと突っ込まずにそうそう!って言い合ったり。
特に小さなことに幸せを感じる、これは生きていくうえで大切なことだと思うんですよね、いちばん、女性に見習いたいところです。
泣く子はいねえがー
朝一とはいえ、映画館が貸切でびびりました、笑。1人って、、、贅沢、笑。
話の内容はバツイチ子持ちのワタクシは感じ方がきっと他の人と違い、ヘビーでしたね。幼稚園のシーンとかいたたまれない。苦しい。
仲野くんにぴったりの役でしたね、代わりにやる人がいないくらい。ちょっとした目や表情がさすがだなと思います。今後どういう役に幅が広がるのか楽しみ。
吉岡里帆もよかったですなーいつものかわいい笑顔がほぼ見られなかったのは残念ですが、ほんと車のシーンもラストの玄関もいい顔、いい目でとても素敵でした。カッコよかったなぁ。。。
地味にずっと辛くて苦しい
人としても男としても未熟なまま父親になってしまった主人公が、自業自得とはいえなかなかキツイ人生を送る様が淡々と描かれていました。
物凄い不幸というわけじゃないけど、結構救いがないし希望もない。取り返せない過去を悔いて自分の未熟さに苛立ちながら過ごす日々は、見ていてなんとも言えない気持ちになりました…。
でもラストシーンは僅かな希望と受け止めていいのかな。
ちゃんと覚悟ができて、まずは自分が子どもを卒業しないと、親になっちゃだめですね。
泣きたいピエロは鬼の面を被る
予告を見た時は、だらしない男が自分なりにもがき這い上がる"再生の話“だと思った。
しかし、そんな優しいモノではなかった。
太賀くん演じるたすくは一発逆転は望んでおらず、地道に+1を重ねていきたかったのに、終始0地点のまま。
この現状維持はつらい。
絶妙に格好がつかない所が笑るたすくのキャラクターと、明るさがアンダー気味の画がいい塩梅だった。
太賀くん以外のキャスト陣も良かった。
まずは吉岡さん。いい感じに表情から疲れを感じられ、主張のない素晴らしい演技でした。
余さん、山中さんはさすがですね。シリアスな役も演じられる余さんですが、今作のとぼけた感じの方が僕は好きだな。
そして個人的MVPは寛一郎くん。やはり父と祖父の血を引いてますね。雰囲気抜群で常に目が離せませんでした。海で警察に見つかった時の笑みは、父・佐藤浩一さんが重なって見えた。
今後の活躍がとても楽しみです。
柳葉さん演じるなまはげの会長が「(なまはげを)魂でやっているんだ」と言っていたように、ラストは魂を感じた。
まあ、たすくはなまはげに対してではなく、娘や自分の現状に魂をぶつけていたのだと思うのですが。
どんな時もヘラついてしまうピエロの面を被っていたたすくは、父が残した鬼の面を被り、やっと出会えた娘へ「泣く子はいねぇが⁉︎」と心の底から叫びます。泣いていたのは彼自身なのに。
何かふつふつと湧き上がってくるものがあり、帰りの車でスピードを出しすぎてしまいそうになった。
吠え声と目で語る
仮面越しの瞳の演技が良かったです。がーあーうぉーの吠え声で想いが伝わります。仲野太賀の演技が素敵です。
途中中だるみに感じましたが、ラストで吹き飛びます。
ラストのためのストーリーが冴えています。
弛んでいるのではなく、劇外を想像させるための余白なのかと思えてきました。
監督の才能を感じました。映画館で観てよかった!
☆3.5から4に変更します。
「ハッキリしろよ」という主人公の姿を自分自身と重ね合わせて
大島優子との共演作である「生きちゃった」に続き、仲野大賀の煮え切らない役どころがハマっている。それに、つい、そういう歯がゆいところを私自身の姿と重ね合わせてしまう。これは現代においては不適切な表現にあたるのかもしれないが、ひとことでいえば「男ってバカだなあ」という感想がぴったりである。ダメな男の気持ちがわかってしまう。そこに、(元)妻役吉岡里帆のサッパリとした役どころとのギャップが鮮明に映し出される。過去(の栄光)にすがりたい男と前に進みたい女のすれ違う様子は他人から見れば興味深くもあるが、しかしながら、自分ごととして捉えてみると、けっこう深刻な問題である。バカな男とそうではない女とでは最終的に話がかみ合わず。切ない。
わたしは婦人なので分からないけど ラストの太賀はカッコ良かった
※星付けるのは好きではない。
何か書きたくさせてる時点で5つ星
たすくはのっけから、
あんまり一所懸命仕事してる様子はなく、
あの事件を起こすほどの
お酒との付き合い方も
よう分からんかった。
東京へ逃げても
さして頑張ってる感じはなかった…
のは、なぜなの?
元気な若者は働きなさいな、て
女だから、と仕事与えられなくて
損をした経験のある私は悔しかった。
元来が怠け者なんで許してけれ、
てこと?
そりゃ、父親の座奪われるわ笑
海辺の助手席で、ことね
(吉岡里帆ちゃん)の表情が
ほんの少し明るくなる。
うまいな。
あれは、
次に行く準備が整った女の顔。
美しかった。
そこからの保育園、
如何にもちゃんとした
仕事してそうな新しい夫と
仲睦まじくビデオ撮る ことね。
実の父親である たすく、
まさかの自分の娘の顔知らんー!
からの
ナマハゲの準備。
なるほど!その手があったか!
この時の太賀がかっこいい。
決まってる。
とにかく、終始、
寛一郎ちゃんがよい。
なんて素敵な役者なんだ。
ナマハゲと同じ顔してみてください!
て監督オーダーだったの?
凄まじい形相。
ナマハゲそのもの。
袈裟がけに箕をつけてあげる様子も
よかった。
古川琴音もよかった。
おぇー!からの
翌朝の白い液体の食べ物からの
童貞なの?発言からの
シロクマのこと考えちゃダメ!
楽しかった
たすくに関しては
1ミリも共感できんかったけど
いいんでしょ、わたしは婦人だから
「決めたの。君じゃないって」「君ってやめてよ」
最近、じれったいダメ男の役が多い仲野太賀。"ゆとりモンスター山岸"なんて忘れてしまう今日この頃。だけど、やっぱりこういう役、上手いなあ。視線の泳ぎ方とか、えへら笑いの口元とか、どうしようもない泣き顔とか。我が子見たさにお遊戯会にやってきて「あれ?どの子よ?」なんて、言葉がなくても伝わってくるもの、その情けなさが。
寛一郎も安定のバイプレイヤーぶり。脇が達者だと、主役の人物造形がはっきりするので観ていて安心できる。
ただ、ストーリーとしては、山場がはじめに来ただけで、だらだらっとしてた。思いのたけをぶつけたラストシーンで一気にクライマックスがやってくるのだけど、たすくの心情とシンクロできない人にはただの粘着質にしか見えないだろうなあと思った。そういう人から見れば、白クマ効果にはまっている状態(再婚する琴音と凪のことは考えないように、としているのに頭から離れない)のイタイ奴でしかない。でもね、泣く子はいねえかと上がり込んだ奴こそが泣きたくてしょうがいない奴で、そいつは、お面を被らないと我が子には会えないし、叫ぶことすらできない奴なのか、と思うと不憫なんだよなあ。
カメラに収めないとか台詞で語らないとか、なにげに巧妙な演出。
例えば、あることがあって病院のロビーで兄貴になじられる場面。倒れる現場を映せばおそらくたすくの弁護に廻ってしまうところ。それをたすくの視線だけに収めることで、観客側も真相を知ることができず、兄貴と同じ「なにやってんだよ」の気持ちになるのだ。
また、これも演出か?と気になることあり。車中のたすくと琴音を後部座席から捉えるカメラワークで、助手席側のシートカバーは綺麗にかけられているのに、運転席側のシートカバーがよれていた。もしこれが二人の気持ちの揺れ具合を表現しているのだとしたら、すごいなあと。
仲野さん、吉岡さん名演!!!!!!
時には逃げることも必要だけど、逃げまくるとどうなるか。
結局、大事にした「自分」しか手元に残らない。
周囲の人がいて自分がいる。そこから逃げれば居場所もなくなる。
血の繋がり云々ではない。
だが主人公はラストに唯一逃げずに自身の思いを遂げる。
「父」としての自覚、覚悟ができたのでしょう。
劇中初めて「本気」になった姿なんだと思います。
あの叫び声の説得力・・・すげぇ!
物語としてよくできていると思います。
「なまはげ」と「親子」「成長」を非常に巧みに繋げた物語でした。
また、演者が良いです。
映画「生きちゃった」 同様に煮え切らない、成長しきれない、
どうしようもない大人演じさせたら仲野さん、ピカイチっす。
あなた、そーいう人ですか?って思っちゃうくらいに。名演です。
東京時代の同僚女子との一連のわちゃわちゃシーン最高です。
取り繕い方や最後の一声とか・・。絶妙。
あと、吉岡さん。良かった。とにかくよかった!
某携帯cmや、某時効ドラマのコミカルも悪くないけど、
数段こっちのシリアスもんがよいと思います。
仲野さんと二人の芝居がとにかく良かった。
二人が画面に写っている時の空気感の移り変わり、
距離感の離れていく感じがビシビシ伝わってきます。
お二人とも全身で演じてらっしゃいました。
余さん、寛さん、山中さん、柳葉さん・・・よかったなぁ。
前半の間延び間や、「え?そんな理由で逃げちゃう?」とか
あの報道カメラはないわーーーとか、突けば色々ありますが
それはそれ!
秀作でした。
ダメな男があがく映画にやられがち
秋田県男鹿市を舞台に、なまはげ行事に参加していた主人公が経験する様々な苦しみを描く物語。
主人公たすくがとにかく情けないし、ダメな男。酔って裸になって町中を走り回るし、東京に逃げちゃうし、戻ってきても犯罪まがいのことやっちゃうし、とにかくシャキッとしてない。たしかに秋田っていう問題もあるかもしれない。雇用のなさや閉塞感みたいなものも影響しているのかも。とにかく、たすくのダメさ(男のダメさ)を受け入れられないとすべての観え方が変わってくる気がする。
元妻に言われる言葉、再婚相手と仲良さげに話してる姿、そして何より会いに行っても娘の顔がわからないこと、こんなことのすべてが心に刺さって苦しかった。
そして、そんなことがあってのラスト。面をかぶって娘の前で叫ぶたすくの姿に心を締め付けられた。あー、こんな悲しい終わり方あるか。大人たちみんなが笑ってる中、娘とたすくだけが泣いているような結末。ものすごく荒削りな印象の映画だったが、心をえぐられてしまった。
とっても個人的な意見(偏見)だが、この映画は満たされている人生を送っている人にはなんら響かない。今までの人生がうまくいってなかったり、辛い思いをしてきた人間が少しでも救われるための映画だ。
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