「大人になれない大人」泣く子はいねぇが ちんさんの映画レビュー(感想・評価)
大人になれない大人
2021年2月14日@京都シネマ
公開当初から気になっていたが、出不精が発症し、観に行けず断念していたところ、京都シネマで遅れて上映していたので、飛んで行きました。
京都シネマは関西に残る数少ないミニシアターなのだが、お洒落で人気もあるようです。すごく素敵な場所で、私個人としても好きです。
さて映画の感想ですが、とてもよかったです。
日本人に生まれて良かった、邦画っていいなぁと思う作品でした。
いつまでたっても大人になれない主人公たすくが右往左往しながらもがく姿は、観ているこちら側にも伝わるほど痛々しく、恥ずかしくて見れられないという感じでした。
そこがリアルで、仲野太賀はすごい俳優だなぁと思いました。
また、ことね役の吉岡里帆も良い演技で、今までのドラマでの役の雰囲気と全然違いました。もっとちゃんとした映画に出演しているところを観たいと思いました。
特に、最後のたすくがなまはげとしてなぎに会いに来た際の、ガラス越しでの表情の演技は緊張感がすごく伝わりました。
映画の序盤、たすくはへらへらした誤魔化し笑いをする癖がありましたが、自分の生き方やことねと向き合いにつれて、その癖は無くなっていきます。
こういう誤魔化し笑いする人いるなぁと思いながら見てました。
印象に残っている場面は、たすくが幼稚園の参観を覗くシーンです。
自分の娘(なぎ)がいるかもしれないから見てみようくらいのつもりで行ったら、自分の娘の顔が分からないことを自覚し、ことねと新しい旦那が自分の娘をハンディカムで撮影しているところを目撃し、焦り、情けなくなるというところ。(よくあの場所でアイス売ろうと思ったなと逆に感心しました笑)
仲野太賀はこういう場面で、わざとらしくなくリアルでグサっと来る演技をするなぁと思いました。
最後、どうしても我が娘の顔を見たいと、ナマハゲに扮して、ことねの家に行く場面はグッと来ました。
夏井が映画の序盤で言った、ナマハゲは家族の絆をつなぐ役割があるというセリフが頭をよぎりました。
いつまでたっても大人になれなかったたすくがナマハゲで家族を見つめ直し、けじめをつけて、大人になるのだなと。
余貴美子の妖怪のような演技が好きでした笑