「【居場所】」泣く子はいねぇが ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【居場所】
東京に居場所はないと言うが、実は田舎にも居場所は少なかったりする。
仕事が少ないかもしれないし、くだらなく感じる因習だって多いに違いない。
もしかしたら、なまはげ自身も同様かもしれない。
僕は男鹿に親戚がいる、
幼い頃、男鹿の大叔母のところに遊びに行って、なまはげのエキシビジョンのパフォーマンスに連れて行かれて、大泣きしたのを覚えている。
「泣ぐ子(ご)はいねぇがぁ」と怒声を聞いて、思いっきり泣いていた。
そして、それを父が笑って見ているのに気がついて、とんでもないことだと怒りとも悲しみともつかない気持ちになったことを思い出す。
僕達には実は定まった居場所なんてない。
もともとないのだ。
だから、辛いのだ。
だから、辛さを堪えたり、頑張ったり、励ましあったり、努力したり、悲しみを乗り越えようとしたりするのだ。
車の助手席のことねの横顔。
たすくのなまはげを家に招き入れる時のことねの表情。
言葉はなくても、たすくに強いメッセージを発しているように感じた。
誰にも居場所なんてもともとないのだ。
だから、頑張ってきたのだと。
お前は何をしているのだと。
年老いて父や母はいずれは亡くなる。
友人もバラバラになったり、家庭を持ったりする。
製材所だって人手に渡る。
考えると辛いことだらけだ。
男鹿のなまはげだって、少子高齢化で、未婚男子が基本のなまはげのなり手は激減し、大晦日に子供が怖がるから、なまはげの来訪を断る家も多くなっていると聞く。
なまはげだって居場所が保証されているわけではない。
「泣ぐ子(ご)はいねぇがぁ」と捲し立てながら、なまはげも実は泣いているのかもしれないのだ。
たすくも凪と一緒に泣いていたのかもしれない。
でも、泣いてばかりはいられない。踏み出さなくてはならないのだから。
こんにちは
わんこさんのレビューの「たすくも凪と一緒に泣いていたのかもしれない」って本当そうだよなって納得しちゃいました。ナマハゲのお面がこの場合にはちょうどよく作用してくれてて、中のたすくはきっとすごい顔して泣き吠えてたんでしょうね笑