「【”酒は飲んでも飲まれるな!” 父親としての自覚無き男の苦き贖罪の日々と、”成長”を描いた作品。】」泣く子はいねぇが NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”酒は飲んでも飲まれるな!” 父親としての自覚無き男の苦き贖罪の日々と、”成長”を描いた作品。】
ータスク(仲野太賀)は、娘凪が生まれ、嬉しさの中、大晦日の男鹿半島の伝統行事「ナマハゲ」に父の手彫りの面を被り、参加する・・。
妻、コトネ(吉岡里帆)の”お酒を飲まないで・・”と言う言葉を背にしながら・・。
だが、街を練り歩く中、悪友シバ(寛一郎)から差し出されたウィスキーを飲むうちに・・。
”お前、何やってんだよ! 結婚して子も出来たのに・・”と、苛苛しながら、鑑賞。-
◆あの、事件から2年。
タスクは東京で一人暮らしをしている。あの為体では、離婚したのであろう・・、と思いながら、鑑賞続行。
ー 東京でのタスクの生き方と、タスクの元を訪れたシバの描き方がやや粗い・・。ー
・そして、シバから聞いたコトネがキャバクラ嬢をしているという話を聞き、重い腰をあげ、
”どの面下げて、帰るのか・・”
と思いながら観ていた、久しぶりの故郷への帰郷。
母(余貴美子)は自然に迎え入れるが、兄(山中崇)は冷ややかだ・・。
・「ナマハゲ」はタスクの行為で、一時中断されていたが、役場勤めで伝統行事「ナマハゲ」を仕切っていた男(柳葉敏郎)達の努力により、復活していたが・・。
■印象的なシーン
・タスクがコトネをシバと共に、歓楽街を捜し歩くシーン。漸く再会したコトネから出た言葉。”私、再婚するの・・”
・タスクが、”凪”が通う保育園の発表会をこっそり観に行くシーン。コトネと再婚相手は直ぐに見つけるが、舞台の上の”凪”がどの子か分からず、狼狽するシーン。
- あのな、幼子の成長は早いのだよ・・。2年経ったら、分からないだろう。-
・タスクが、自分の愚かさ故に、失った物の大きさに気付く”車の中での、コトネとの会話”のシーン。
そして、タスクは亡き父の彫ったナマハゲの面を被って、”父として、娘にしてあげられる最後の行動”に出る・・。
-このシーンは、今作の白眉である。
新しい家族のいる家に、険しい目をしながらも、タスクを入れるコトネを演じた吉岡里帆さんの表情と、
腹の奥底から絞り出すように”泣く子はいねぇが!”と、愛娘”凪”に
”強い子に育ってくれ!”
という願いを込めたタスクを演じた仲野太賀さんの、面の下の”眼”・・。-
<序盤から中盤は、ストーリー展開がやや粗く、”勿体ないなあ・・”と思いながら鑑賞。
仲野太賀さんも吉岡里帆さんも寛一郎さんも余貴美子さんも山中崇さんも、皆、良い演技をしているのに・・。
”是枝監督が惚れ込んだ”とフライヤーにあるが、前半は、画と画の繋ぎが粗く、ストーリー展開にも膨らみが出ていない。
だが、タスクが故郷に戻った、中盤から後半、漸く良い数々のシーンが展開される作品。
”最初から、あのトーンで作品を仕上げておくれよ・・、俳優さんたちは皆、頑張っているのに・・”と思ってしまった作品である。
が、中盤からラストシーンは、見応えがある作品でもある。>
NOBUさんへ
吉岡里帆さんは「見えない目撃者」で激変して以降、好きな女優さんです。何か、ガバっと変わる作品ってありますよね。この映画でも、セリフじゃ無く、横顔だけ・表情だけで芝居してますもんねぇ…
NOBUさんへ
酒に飲まれ続ける人生だったbloodですw
おっしゃる通り、中盤からは人が変わった様に描写が緻密になりましたし、カメラは最高に良かったです!
が。あのラストだけは個人的には無しで、目を閉じてやり過ごしたい気分でしたw