劇場公開日 2021年5月7日

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「物語の構造・セリフ・演技全てが面白い!すべてがカッコ良い!」ジェントルメン Toshiakiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5物語の構造・セリフ・演技全てが面白い!すべてがカッコ良い!

2021年5月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ストーリー自体の面白さに加え、劇中劇ともいえる「映画のシナリオをなぞる」という構成が、面白さを格段に高めている。
セリフの一字一句も見逃せない緊張感で、字幕を追うのが苦手な方はやや疲れるかも知れないが、大丈夫です。ガイ・リッチー得意の絶妙なテンポで小気味良く場面展開が進むので、ダラダラとした会話劇みたいなものではありません。
キャラクターは全員猛烈に癖のある連中で、一歩間違えば安っぽいお笑いになって滑りそうなところを、ベテラン勢が巧みに演じている。まずこれが全てたまらなくカッコ良い。
中心の語り手となるヒュー・グラントは、彼の売りである(?)チャーミングな垂れ目を隠すためか終始サングラスのまま。中年キャラばかりなのもあり、皆さん眼鏡率高いですね。眼鏡オジサマファンの方、それだけでもお勧めですよ。服装・髪型、全てがカッコ良い・・・
英国を舞台としたことで成立する映画である。登場人物は犯罪者ばかりであるが、個人所有の拳銃が蔓延していない国ゆえの独特な暴力、アメリカの犯罪映画のように派手なアクションも壮絶な銃撃戦も無いのに絶妙な緊張感を醸し出している。貴族社会の抱える問題や、貧困層の描写も、ストーリーを支えているだけでなく作品全体のシニカルなテイスト・空気感を生んでいる様に思う。
The Gentlemenというタイトルこそが、皮肉である。皆紳士のように装い振る舞うが、容赦が無い。誰が誰を裏切っているのか、最後の最後まで目が離せない。
純粋に娯楽作として十二分に面白く、また細部をよくよく観れば表現や小技の巧みさにも感心させられる、素晴らしい映画だった。今のところ今年最高に楽しみました。

Toshiaki