劇場公開日 2020年3月20日

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「ブラックスワン - 可能なことから」21世紀の資本 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ブラックスワン - 可能なことから

2020年3月21日
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作中のインタビューで登場するイアン・ブレマーは、世界的リスク・コンサルティング会社ユーラシア・グループの代表だ。

世界的投資会社ブラック・ストーンの副会長バイロン・ウィーンと並んで年頭のリスクやサプライズ予想が世界的に注目されている。

しかし、2020年のリスクやサプライズ予想に、新型コロナウイルス肺炎のパンデミックは予見されていなかった。

そして、先進国の経済だけではなく、世界の社会システムが、新型肺炎によって揺さぶられる事態となっている。

このように、従来の確率論や経験・知識で予見が困難で、いざ起こった時の悪影響が甚大なものを俗称でブラックスワンと呼んでいる。

白だけと考えられていた白鳥に、黒色のものが見つかったことによる、動物学者の受けた衝撃に因んだ呼称だ。

この映画「21世紀の資本」は新型肺炎のパンデミックの前に製作されたものだが、ブラック・スワンばりの、いや、もしかしたらそれ以上の破壊的な状況をトマ・ピケティやイアン・ブレマーが予見や懸念しつつも、彼らは同時に回避する方法も提唱している。

怖いのは、懸念はあっても大丈夫だと思い込んでる人々だ。

その顕著な例が、リーマンショックを代表とする金融危機だった。

大丈夫の裏には、甘いリスク管理や多くのインチキが隠されていたのだ。

そして、映画の前半で語られる18世から続く革命については、格差の拡大と固定化に加えて、実は17世紀に始まった太陽活動の低下による地球の寒冷化が、アイスランド、インドネシア、フィリピン、そして、日本の浅間山などの火山の大噴火で長引き、世界中で発生した不作、疫病のパンデミックも大きな要因になっていたのは間違いない。

これを温暖化に置き換えたらどうだろうか。

ハリケーンや台風、過度な乾燥による山や森林火災は農作物や工業生産にも多大な被害を与えるし、新型肺炎は、労働や物流にも打撃を与える。

また、視点を移すと、米中が貿易で揉めれば揉めるほど、いち早く新型肺炎の危機を脱した中国は、新型肺炎が収まらないアメリカ産の農作物は買いたくないと言い張るかもしれない。

あれほどトランプが熱心に中国に購入をねじ込んだにもかかわらずだ。

武器を使用せずとも、中国の国家資本主義と、アメリカを中心にした自由資本主義は臨戦状態であることは確かだ。これによっても経済は停滞する。

そして、新型肺炎によって突きつけられるコストも甚大だ。

日本は皆保険だが、アメリカは違う。迅速な対策を講じないと何らかの影響が大統領選挙にも及ぶはずだ。

EUにあって緊縮財政を余儀なくされ、極右政党を含む連立政権が率いるイタリアは、中国にすり寄る政策を掲げていたが、あんな小さな国がなのに、新型肺炎の感染者数が中国を上回ってしまって、今後はどうするのだろうか。

EUが安定化基金を利用して、イタリア支援をすると考えられているが、それでもEUより中国と上手くやりたいとは言いづらいだろう。

多くの欧州諸国では、製造業が力を失い、サービス業を国家の主力産業とするところも多い。

その代表は、フランスやイタリアで、観光サービス業の打撃は計り知れない。

観光業への大打撃は、日本も同様だ。

製造業も実際に、それぞれの物作りの現場に影響があるだけではなく、高度に分業化されたシステムは、どこか一国の生産が滞るだけで最終工程が停止状態に陥るリスクを抱えている。

それは、今回の新型肺炎だけではなく、近年のタイの洪水被害でも明らかだったし、日本の地震や台風被害も同様だ。

世界は、今、エッジに立っている。

微妙なバランスが必要とされるエッジだ。

トマ・ピケティが提唱するような新しい社会システムの構築には時間がかかる。

しかし、世界的巨大ITハイテク企業のタックス・ヘイブン課税は比較的容易に出来るのではないか。

仮にアメリカが嫌がっても、今回の新型肺炎で巨額な財政出動を強いられるアメリカにだって動機付けを与えられるはずだ。

実際、イアン・ブレマーやバイロン・ウィーンは、今年、アメリカ国民は巨大IT企業の管理強化や分割により前向きになるのではないかと予想していた。

映画で経済学者が説明するように、世界の資本が、その15%程度しか、事業開発や投資に回されておらず、残りは資本市場のリスク資産の売買の中で、リスク資産の価格吊り上げに利用されているとしたら、利益を税金として徴収し、社会資本の充実に使う方が有益ではないのか。

アメリカで皆保険の導入は困難でも、新型肺炎の感染者の治癒や死亡を防ぐための対策に使うことは可能ではないのか。

それに、今回の新型肺炎は教訓に過ぎないかもしれないのだ。

元々、中国を発生源とする鳥インフルエンザがヒトヒト感染し、パンデミックする事態を想定した対策が必要になると言っていたではないか。

今回トマ・ピケティやイアン・ブレマーが予見し警鐘を鳴らしていた危機が、ブラックスワンによって後押しされた。

これをきっかけに、資本のあり方を考えてみることは無駄ではないはずだ。

僕達には実は、あまり時間がないのかもしれないのだ。

ワンコ
ヒノタマさんのコメント
2020年4月3日

すいません。知ったかぶりでした。
チャイナを先進国のスワンとみちゃダメって意味合いで使ってしまいました。

ヒノタマ
ヒノタマさんのコメント
2020年4月3日

つづき

5Gだって、何が仕込まれているのかわからない。日本企業は、お人好しだから?
確信犯かわからないけど、早くチャイナから脱出してほしい。

今回の肺炎だって、もう、武漢では治ったとか、死者の数だって、プロパガンダで、そもそもバイオテロの噂も消えないし。 失礼しました。🙏

ヒノタマ
ヒノタマさんのコメント
2020年4月3日

コメント失礼します。
最大のブラックスワンは、チャイナという国なのでは?

世界の倫理など関係なく、日本や世界中のモノをパクリる。
共産党員以外は、奴隷。だから
臓器移植や、ips細胞とか、自動運転なんか、人の命など関係なく、実験し放題。

変なドラえもん、だなんてのは、イイ方で、世界中のものが、変にされちゃうんだと思うと、恐ろしい。

ヒノタマ