ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画のレビュー・感想・評価
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科学者の青春映画
寄せ集めチームが大きなことを成し遂げていく、という王道ストーリー。結果がわかってても、ハラハラドキドキするし、爽快。
揚げパンとか、廃プラスチックとか、パソコンの再起動とか、生活の中の小さな気づきが研究の進展につながっていくのがおもしろかった。
それと、科学者だって恋に悩むし、家族と些細なことで喧嘩するし、特別な才能を持っている一方で、すごく普通の人として描いているところも好きだった。
時間や予算がない中で、みんなが熱くなっていく様子は青春映画のようで、ロケット発射のシーンや火星に到達するシーンはハラハラドキドキ。成功しますように!と彼らと一緒に祈りたくなった。
時間や予算がないからこそ、工夫して、大きな成功が生まれるという展開はお仕事ドラマとしてもアツい。最後の「ハリウッドの宇宙映画を作るよりも安い金額で火星に到達した」っていうスピーチ、かっこよかったなあ。
けっこうよかった
お正月は過ぎてしまったのだけど、まだまだ新年気分で見るのにはぴったりな、夢を信じよう、科学を信じよう、逆境に負けるなといったピュアに前向きなメッセージがたっぷりだ。主人公の旦那さんはどんな仕事をしているのだろうか。奥さんに仕事を辞めるべきだと言えるほどの仕事なのだろうか。ごく少人数でのチームなのかと思ったら、エンディングでめちゃくちゃ人数が多かったことが種明かしされる。火星探索ではどのような成果があったのだろう。息子が作る音楽も聴きたかった。
インド映画らしいっちゃらしいが
比較的インド映画は好きな方だがこれは合わなかったかな。ロケットのパートのところは興味を掻き立てられるが、開発チームのプライベートや家族背景などが個人的には全く面白くなくそこで集中が欠けてしまう。背景音をはじめなんかこの辺りが古臭い表現が多く、ちょっとしたコメディシーンとかも昔のハリウッド映画のノリみたいなところも多く個人的には苦手であった。
ロケットの開発ももっと詳細に描かれているのを期待したが、結構端折ったシーンも多く、展開も早い。
見終わった直後の感想としてはインド映画らしいといえばそれまでだがこのタイプの実話ベースの作品はもう少し丁寧に成功へのサクセスストーリーを見たかった。
気分が高揚して眠れない程の「夢」
それが「情熱」ってやつでしょうに。
久しぶりの新作インド映画の様な気がします。個人的にはインドバブルは弾けてたんですが、既に。こう言うベタな情熱物語りは上手いですw
7200万ドルの低予算と、15ヶ月の短期開発で、火星軌道上に探査機を送り込んだチームの物語り。前半が少しくもどかしい気がしないでも無いけれど。
メンバーのモチベーションを引き出す「誕生会」でエンジン着火。40億ルピーの予算確保でロケット発射気分。インドらしく歌も挟んで気分上げ上げ。御天道様に焦らされるけど、結局ミッション成功でメデタシメデタシ。
画期的な航法で地球の重力圏を脱出したマーズ・オービター・ミッション。Mangalyaan(マンガルヤーン)は「火星の乗り物」の意味。日本の火星探査機「のぞみ」の打上げは1998年7月。通信途絶で運用を断念したのが2003年12月。インドのマンガルヤーン打上げは2013年。アジアでは初となる大偉業でした。
それを実現したチームの中心に女性たちの活躍があったんですね。ドリームの二番煎じじゃん!なんて野暮な突っ込みする前に、拍手👏
良かった。結構。
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1/11 追記
ちょっと気になって調べてみました。本当のところ、MOMのチームには女性がいたのか?
ミッション成功当時、チームの主要メンバーとしてニュースで紹介されていたのは11人。女性はRitu Karidhal、ただ一人です。
映画の公開に合わせて、何人かの女性の活躍が"behind the story"的に紹介されています。が。やはり、裏若き新人達、ってんじゃなく、キャリアを積んだベテラン揃いだったと言うのが、事実の様です。
☆Ritu Karidhal
航空宇宙技術者でISROのシニア科学者。副官の立場でオペレーションを指揮。
☆Nandini Harinata
20年に渡り14のミッションに関わったロケット技術者。子供の時に見た"Star Trek" に取り憑かれて科学者の道を志したそうです。
☆Anuradha T.K.
空間通信を専門とし、40年のキャリアを誇る技術者。当時、役員のポジションにあった、とあります。
☆Minal Rohit
システムエンジニア。MOMでは、機器開発を担当。アポロ11号の月面着陸の話を父親から聞かされ続けていたそうですが、それが宇宙に興味を持つきっかけだったそうです。
☆Moumita Dutta
物理学者。衛星の光学システムの開発を担当。
☆Dr Seetha Somasundaram
プログラムの指揮を行ったそうで、数々の実験機器の開発も行っていたとの事。1980年にISROに参加。
映画の中で活躍した女性達には、モデルとなる技術者が実在したって事ですねw
【『M:I インド火星探査機打上ヴァージョン』” 女性ならではの知恵を働かせ、数々の原価低減アイテムを捻りだし、夢を叶えよう!”女性研究者たちが歌って踊る、エンタメに徹した姿勢も好感が持てます。】
ー”インド映画で、女性スタッフ中心による火星探知機打上の実話かあ、面白そうだなあ・・”
と仕事帰りに、イソイソと映画館へ。ー
■Caution
・”宇宙探査船打上”がテーマの作品ですが、近作で言えば「ミッド・ナイト・スカイ」「アド・アストラ」「ファースト・マン」のような映画を期待すると、肩透かしを食らいます。
インド・マサラムービーに近い作りですから、純粋に開発スタッフの苦労する姿や、踊りを楽しみたい映画です。
内容としては「ドリーム」に近いかもしれませんね。
■ストーリーはシンプルで、分かりやすいです。
・2010年、家庭の主婦業もしっかりこなしながら、インド宇宙研究所でロケット開発に携わるタラ(ビディア・バラン)は、責任者ラケーシュ(大スター:アクシャイ・クマール)の基でロケット打上業務についていたが、タラのミスによる打上失敗により、ラケーシュは”火星探査PJ”責任者と言う閑職に飛ばされてしまう。
- けれど、めげないラケーシュ。責任を感じて、PJに参加するタラ。ー
インド宇宙研究所は、”もう失敗は許されない”と、NASAから“エラソウナ”インド人宇宙科学者デサイを呼び寄せる。
”火星探査PJ”メンバーは、デサイが選んだ若き4人の女性と童貞君と定年間際のおじさん・・。
だが、彼らが奇跡を起こしていく・・。
- ヤッパリ、オモシロイゾ。
サキハヨメルケレド、モンダイナイ。コノエイガヲ、タノシモウ。ー
■今作の魅力
1.女性キャラクターが魅力的である。童貞君も、定年間際のおじさんも、魅力的なのである。
・タラ:主婦業と仕事と年頃の子供を抱え、奮闘する日々。やや、保守的な夫あり。
- 夫の態度に、最初は”ちょっとなあ・・”と思っていたら、タラに連れていかれたクラブで、切れの良いダンスを披露する・・。子供も見直す。
この映画には、”真の悪人”が出て来ないのである。そして、エンタメに徹しているのである。私は、その姿勢を、肯定する。-
・エカ・ガンディー:NASAに入りたいキャリアウーマン。けれど、幼き頃には苦労していて・・。
- それで、”ガンディー”なんだね・・。強気で上を目指す気持ちが分かったよ・・。-
・ネハ:ムスリム出身。ムスリムへの、いわれなき差別を受けたりしている。夫の浮気で離婚。
- ここでも、インドの抱える問題をさり気なく描いている。-
・ヴァシャー:姑に、”子供が出来ない”と嫌味を言われながらも、夫と狭い自宅をイロイロと工夫して暮らしている。(折り畳みベッド&食卓etc.)
そして、漸く妊娠するが、そのまま、仕事を続ける。
- 彼女の妊娠を知った、責任者ラケーシュの言葉が良い。
”産休を取っても良いし、いつまで働くかは、貴女が決めれば良いよ。子供が生まれたら、研究所内に託児所を作ろう・・。”
ラケーシュは、さりげなく口にするのだが、なかなかサラリとは言えないセリフだよ・・。ー
・車の運転が苦手な、クリティカ。夫は軍人で、大怪我をして入院している。この夫が看病する彼女に掛ける言葉も良い。
”俺は、国のために戦っている。君も、国のためのロケット開発を続けろよ・・”
ー 良い男だなあ。クリティカの嬉しそうな顔。-
・童貞君、パルメーシュワル(シャルマン・ジョシ:「きっと、うまくいく」以来だね。) ーこの”占い頼み”の童貞君は、エカの事が好きなのである。多分、エカも・・。ー
・定年間際のお爺ちゃん、アナント。
- コノヒトモ、ヨイ。ネハの元夫への仕打ちなど。ー
2.彼女、彼らが考え出す、原価低減アイテムの発想の面白さ
・定年間際のお爺ちゃん、アナントはTVで流れた、海岸に打ち上げられた大量のプラスティックの映像を見て、ヒントを思いつく。
女性スタッフがアドバイスをし、軽量で丈夫な材質を作る過程。
- 素晴らしき、廃品利用!しかも、地球環境にも貢献。流石、年の功である。-
・タラが考えた、”余熱を利用して揚げパンを作る所”から、燃料の節約術を考えて、”火星探査機、ハンマー投げ5回転計画!”
- 面白いなあ、地球の引力を最大限に活用しつつ、探査機を火星の周回軌道に乗せるとは!-
・予算が枯渇する中、更にタラはアイデアを提出する。
”凍結している、月探査用の機器を利用すれば良いじゃない!”
ー 無駄な在庫の有効活用だね!” -
◆そして、彼らは予算40億ルピー(68億円位だそうです。高いなあ、と思っていたら・・)で、見事に”一回目の挑戦で火星探査機を軌道に乗せる事に成功するのである。アメリカは4回目、ロシアはもっとかかったのに・・。
<エンドロールで流れるコメントも、オモシロイ。40億ルピーという額は、アメリカハリウッドの大作映画の製作費よりも安いそうなのである。凄いなあ・・、インドの知恵。
イロイロと突っ込みたくなるところもあるが、鑑賞後、何だか勇気を貰える作品。
困った時にも、鼻歌を歌いながら、難題を片付ける位の心の余裕が大切だなあ・・、と思った作品でもある。>
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