劇場公開日 2021年1月8日

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「永遠にも思える8分に胸が熱くなる」ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5永遠にも思える8分に胸が熱くなる

2021年1月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

電波の速さは光と同じなので秒速30万キロ、そして火星と地球の距離は近い時で約7000万キロ。
管制室で探査機との通信の回復を確認したのも、送られてきた火星の写真もおおよそ地球時間で4分前(後?)のことになるのですね。
ということは地球からの遠隔操作も必要なタイミングの4分前に判断、指示をしなければならないし、その探索機への指示の結果を確認できるのが、往復で8分後。

話が脱線しますが、光速とは比べものにならないほど遅い宇宙船の助けを何百日も一人で待っていた『オデッセイ』火星の人のマット・デーモンの心細さといったら、一体どれほどのものか。そんなことまで思い出して、胸が熱くなりました。

準備期間も、探査船や探査機の目的地への到達時間も、その結果を知るのもすべて数年或いは数十年単位。
例えば、30代や40代で参加したプロジェクトの結果を知る頃に現役でいられる保証もないことだってあるわけです。
それでも知りたくて堪らない。
そんな知的好奇心に溢れた人たちと、そこに時間と予算を割くことのできる長期的な視野と財政戦略を持った国家という背景が無いと成り立たない物語。

間違っても、新型コロナの感染拡大防止に短期的には成功しているどこかの強権的な国家を見習って、密かに統制を強めるような法整備(顔認証の監視カメラがあちらこちらにできるようなこと)が進んだり、政府に従順な国民を作るような教育制度作りが進められないことを切に祈っています。

グレシャムの法則