劇場公開日 2021年1月8日

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「早くも今年の実話ベースものでは(個人の)トップ3入りしそうかな…?」ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0早くも今年の実話ベースものでは(個人の)トップ3入りしそうかな…?

2021年1月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年7本目(合計74本目) ※「銀弾 the final」と、たまたま「天体がどうの何の」と出た方がおっしゃっていたので気になってセーラームーンの新作も見てきたのですが、そのレビューはさすがに要らないかと思います(必要であれば書きますが…)。

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 ※ そういえば、火星には「2つ」の衛星がありました。フォボスとダイモスです(いずれも半径20kmほど)。この映画では火星の衛星の話は出ませんが、そのあとにセーラームーンを見ると、あ、元ネタあれだったのね、ってわかります(セーラームーンの中で、セーラーマーズの女の子が、お寺で飼っているカラスの名前)。
ちなみにこちらの新作セーラームーンも、地味にマニアックなところで天体ネタが出てきたりします(普通に見る範囲だと気が付かない)。
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 さて、こちらの映画。内容は実話に基づくものです。多少は設定などは変えてあるようですが、大筋において実話であること、またアジアで初めて火星に探査機を飛ばしたというのも事実です(日本は先に試みるも失敗しています)。

 インドといえば今ではIT大国として知られ、先進国とは言わないにせよ発展途上国でもなく、その中間的位置にある程度の国であり、また科学水準も高いことで知られます。一方、貧富の差も激しいものがあり、また宗教の違いからくる民族紛争なども絶えません。特に貧富の差からくる「国家予算の配分」は大切な問題であり、極論「どうでもいい事案」である火星探索というものに大金を突っ込むことはできません。

 そうすると、開発者はいかにして安く開発するか?という考え方になってしまいます。しかし、火星探査機は2年2か月に1回しか原則飛ばせません(いわゆる、火星大接近にあたるときが条件的にベストになり、かつ、2年2か月の火星大接近もその近づく差にはかなりの違いがあり、今回飛ばした条件は極めて有利な条件でした)。
そこで色々なアイデアが出てくるのです。一見するといらないであろうゴミを使ってみたり、「家庭の主婦のアイデア」がそのまま火星探査機の開発に生かされる、そんな国なのです。換言すれば、アイデアさえうまく成立していけば成り立つのであり、それは日本でも同じであろうと思われます(性能などがほぼ同等で、明らかに安く済むのなら、それを採用したほうが良いのは明らか。もちろん、特許の問題は別途考慮する必要はある)。

 どちらかというとドキュメンタリー映画という分野で、ストーリーというストーリーはほとんど存在しないと言えます。かつ、「結果がわかっている」映画なので、どう見せるか?がポイントになります。そしてこのようなサイエンス系映画は、内容がマニアックすぎて理解できない(TENETなど)場合や、逆に「サイエンス系映画と思わせて中身がトンデモ科学」だったりと色々なものがありますが、この作品は非常に丁寧です。かつ、字幕も工夫されており、文系の方でもすっと入っていけるように理系特有の語(内容的に、天文学よりも物理的な話も出ます)は意味を変えない程度に使用をうまく工夫しており、「何がなんだかわからない」状態にはなっていません。

 太陽系には地球以外に生命が住んでいる場所があるかどうかは未解決です。そして、その真っ先の候補が火星です(ほか、月やエンケラドゥス(土星の第2衛星)、タイタン(同6)などがあります)。しかし、それは「太古にいたであろう」生命も含まれます。「今いない生命」を論じても「あまり」意味はありません。むしろ、今後地球の開発がどんどん進むにしたがって「住む場所」がなくなり、地球以外の生活可能な場所を探していく流れになることは当然理解できます。その際たる候補が火星であり、ついで言えば月でしょう(地球との行き来を考えれば、事実上この2つ。ほかには巨大人工衛星も考えられます)。その「未来に必ず役に立つ」研究である「地球以外に住める場所の先行調査」としての火星探査が今日、また未来に与える影響は非常に大きいものがあり、その意味でインドの成し遂げたことは大きな意味があります。なぜなら、「インドと同じ程度の科学水準の国でもがんばればインドのこの例と同じように観測機を打ち上げて成功させる」という先例を作ったから、にほかなりません。

 この映画がもとに、宇宙天文に興味を持つ方が増えるといいな…と思っています(私個人は、個人的に天体望遠鏡を数体持っていて、天体によって使い分けて観測したりする程度です。もっとも大阪市なのでどう頑張ってもあまり見えませんが…)。

 さて、採点に入りましょう。下記の減点0.2で4.8を5.0に切り上げています。

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 (減点0.1) インド映画の特徴なのでしょうか、最初に「アルコールの飲みすぎは体に悪影響があります」という趣旨の英文が流れます(ただし、映画内でアルコールをたしなむ程度の描写はあるものの、中毒になるほど飲むような人は出てこない)。おそらく、日本で「盗撮禁止の趣旨の警告画像(例のカメラ男の人が出るアレですね)」が必ず出るのと同じ趣旨なのだろうと思います(映画に、アルコールはほとんど出てこない)。

 ところが、そのあとに英語以外の言語で大量に何か表示され(英語ではない。何語か不明。しかも、背景真っ黒に白い文字で大量に表示され、何か重要らしいところに線が引いてある、ある意味「怖い」文章)、そのあと始まるのですが、その部分の翻訳がありません。

 一方でエンディングのスタッフロールを見ても、スタッフさんの名前は出ますが、必ず表示される「無断コピーなどは刑事罰や民事罰の対象になります」の趣旨の英語は出てこず(スタッフロールは英語です)、どうもそれが先頭のそれ(全然わからないその謎の大量の文章)に移動しているようなのですが、その部分は翻訳されていません。

 もっとも、「盗撮しちゃダメ」とか「(危ないから)個人でロケットを開発しちゃダメ」とかというのは「当たり前」の話なので翻訳しなかった可能性もありますが、あまりに大量に表示されるので(おそらく、1つや2つの内容ではない)、一体何なのか気になります。

 (減点0.1) ストーリーは、現地の言語(インドが舞台という事情から、方言が多いこともあり、何語かよくわからない)と英語の2つが話されています。
その中で、明らかに誤訳と思われる点があります。

 「そんなことが今のインドにできる確率は0.1%以下だ」(だから、プロジェクトは採択しない、と最初に断られるシーン)の「0.1%以下」の「以下」で使われている表現は less than です。しかし、 less thanは「未満」であって「以下」ではありません(more than は「その値を含まずその値より大きい」。「以上」とは違う)。
もっとも、内容的に意味内容が理解できれば良い話であり、0.1%以下でも未満でも本質論ではないのですが、科学映画であるからこそ、このような「科学的に正しくない翻訳」は視聴者が誤った知識で理解しかねかねず、危ないなぁ、と思いました(ただ、この点はうっかりミスが多い点であり、かつ理解を妨げるほどの誤りともいえないので、0.1点どまり)。
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yukispica
松室重裕さんのコメント
2021年1月11日

これから見に行ったろか👊と考えている1人ですけど、他人のレビュー見て、どうこう!や無く自分の感覚で面白いと感じたらオケ👍️。

松室重裕
グレシャムの法則さんのコメント
2021年1月10日

終盤の高揚感ですっかり忘れてましたが、意味不明の気になる字幕ありましたね。インドなので、たぶんヒンドゥー語だと思います。
また、英語では〝動物虐待してません〟という一文もありました。ミャオーズ⁈とかなんとかいう生命体⁈も出てきましたね。
130分の映画なのに、インドでの上映時にインターミッションがあるのは🍺やアルコール飲酒率が高いからかも。冒頭の字幕はその牽制?(ほとんど効果を発揮してなさそうですが)

グレシャムの法則
ゆうさんのコメント
2021年1月9日

私も望遠鏡持ってます(屈折式ですが)ちなみに天文検定にこちら出ました(選択文の一つにですが)中世ぐらいのが見たいんですが天体ものってあんまり無いですよね

ゆう