「【『M:I インド火星探査機打上ヴァージョン』” 女性ならではの知恵を働かせ、数々の原価低減アイテムを捻りだし、夢を叶えよう!”女性研究者たちが歌って踊る、エンタメに徹した姿勢も好感が持てます。】」ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【『M:I インド火星探査機打上ヴァージョン』” 女性ならではの知恵を働かせ、数々の原価低減アイテムを捻りだし、夢を叶えよう!”女性研究者たちが歌って踊る、エンタメに徹した姿勢も好感が持てます。】
ー”インド映画で、女性スタッフ中心による火星探知機打上の実話かあ、面白そうだなあ・・”
と仕事帰りに、イソイソと映画館へ。ー
■Caution
・”宇宙探査船打上”がテーマの作品ですが、近作で言えば「ミッド・ナイト・スカイ」「アド・アストラ」「ファースト・マン」のような映画を期待すると、肩透かしを食らいます。
インド・マサラムービーに近い作りですから、純粋に開発スタッフの苦労する姿や、踊りを楽しみたい映画です。
内容としては「ドリーム」に近いかもしれませんね。
■ストーリーはシンプルで、分かりやすいです。
・2010年、家庭の主婦業もしっかりこなしながら、インド宇宙研究所でロケット開発に携わるタラ(ビディア・バラン)は、責任者ラケーシュ(大スター:アクシャイ・クマール)の基でロケット打上業務についていたが、タラのミスによる打上失敗により、ラケーシュは”火星探査PJ”責任者と言う閑職に飛ばされてしまう。
- けれど、めげないラケーシュ。責任を感じて、PJに参加するタラ。ー
インド宇宙研究所は、”もう失敗は許されない”と、NASAから“エラソウナ”インド人宇宙科学者デサイを呼び寄せる。
”火星探査PJ”メンバーは、デサイが選んだ若き4人の女性と童貞君と定年間際のおじさん・・。
だが、彼らが奇跡を起こしていく・・。
- ヤッパリ、オモシロイゾ。
サキハヨメルケレド、モンダイナイ。コノエイガヲ、タノシモウ。ー
■今作の魅力
1.女性キャラクターが魅力的である。童貞君も、定年間際のおじさんも、魅力的なのである。
・タラ:主婦業と仕事と年頃の子供を抱え、奮闘する日々。やや、保守的な夫あり。
- 夫の態度に、最初は”ちょっとなあ・・”と思っていたら、タラに連れていかれたクラブで、切れの良いダンスを披露する・・。子供も見直す。
この映画には、”真の悪人”が出て来ないのである。そして、エンタメに徹しているのである。私は、その姿勢を、肯定する。-
・エカ・ガンディー:NASAに入りたいキャリアウーマン。けれど、幼き頃には苦労していて・・。
- それで、”ガンディー”なんだね・・。強気で上を目指す気持ちが分かったよ・・。-
・ネハ:ムスリム出身。ムスリムへの、いわれなき差別を受けたりしている。夫の浮気で離婚。
- ここでも、インドの抱える問題をさり気なく描いている。-
・ヴァシャー:姑に、”子供が出来ない”と嫌味を言われながらも、夫と狭い自宅をイロイロと工夫して暮らしている。(折り畳みベッド&食卓etc.)
そして、漸く妊娠するが、そのまま、仕事を続ける。
- 彼女の妊娠を知った、責任者ラケーシュの言葉が良い。
”産休を取っても良いし、いつまで働くかは、貴女が決めれば良いよ。子供が生まれたら、研究所内に託児所を作ろう・・。”
ラケーシュは、さりげなく口にするのだが、なかなかサラリとは言えないセリフだよ・・。ー
・車の運転が苦手な、クリティカ。夫は軍人で、大怪我をして入院している。この夫が看病する彼女に掛ける言葉も良い。
”俺は、国のために戦っている。君も、国のためのロケット開発を続けろよ・・”
ー 良い男だなあ。クリティカの嬉しそうな顔。-
・童貞君、パルメーシュワル(シャルマン・ジョシ:「きっと、うまくいく」以来だね。) ーこの”占い頼み”の童貞君は、エカの事が好きなのである。多分、エカも・・。ー
・定年間際のお爺ちゃん、アナント。
- コノヒトモ、ヨイ。ネハの元夫への仕打ちなど。ー
2.彼女、彼らが考え出す、原価低減アイテムの発想の面白さ
・定年間際のお爺ちゃん、アナントはTVで流れた、海岸に打ち上げられた大量のプラスティックの映像を見て、ヒントを思いつく。
女性スタッフがアドバイスをし、軽量で丈夫な材質を作る過程。
- 素晴らしき、廃品利用!しかも、地球環境にも貢献。流石、年の功である。-
・タラが考えた、”余熱を利用して揚げパンを作る所”から、燃料の節約術を考えて、”火星探査機、ハンマー投げ5回転計画!”
- 面白いなあ、地球の引力を最大限に活用しつつ、探査機を火星の周回軌道に乗せるとは!-
・予算が枯渇する中、更にタラはアイデアを提出する。
”凍結している、月探査用の機器を利用すれば良いじゃない!”
ー 無駄な在庫の有効活用だね!” -
◆そして、彼らは予算40億ルピー(68億円位だそうです。高いなあ、と思っていたら・・)で、見事に”一回目の挑戦で火星探査機を軌道に乗せる事に成功するのである。アメリカは4回目、ロシアはもっとかかったのに・・。
<エンドロールで流れるコメントも、オモシロイ。40億ルピーという額は、アメリカハリウッドの大作映画の製作費よりも安いそうなのである。凄いなあ・・、インドの知恵。
イロイロと突っ込みたくなるところもあるが、鑑賞後、何だか勇気を貰える作品。
困った時にも、鼻歌を歌いながら、難題を片付ける位の心の余裕が大切だなあ・・、と思った作品でもある。>