劇場公開日 2020年3月20日

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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実のレビュー・感想・評価

全207件中、201~207件目を表示

5.0【"熱と敬意と言霊" 】

2020年3月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

難しい

 ー 1969年 ”政治の季節” に "あやふやで猥褻な日本の現在" を憂いた者達の、各々が寄り添う思想的背景の大きな乖離を乗り越えた討論を映し出したドキュメンタリー。ー

 ・彼らの、時にユーモアを交え、時にハイレベルな知識に裏付けされた討論をする姿、内容に一気に引き込まれる。

 ・その姿からは、彼らが如何に当時の日本の状況を憂い、真剣に行く末を考えていたかが良く分かる。

 ・それにしても、当初、三島由紀夫を論駁してやる、と息巻いていた駒場キャンパス900番教室に集まった1000人を超える学生たち(と、彼の身を案じた一部の楯の会メンバー)の緊張感が、芥正彦が幼き娘を抱きかかえながら登場し、”三島さんは敗退してしまった”と言い放つシーンで最高潮に達した時も、

 <三島由紀夫の、近い未来の”自らの死”を覚悟した上での余裕なのか、
  自らと思想的背景は違えど、日本を憂う若者達の姿を近しく思ったのか・・>

 ・終始、微笑みを浮かべながら熱い湯に浸るかの様に、東大全共闘の論客たちと”実に愉しそうに”煙草を分け合い、会話する三島の姿には瞠目した。
 そして、彼の丁寧な言葉遣いや態度に、緊張感が徐々に解れていく学生たちの表情も印象的である。

 ・三島が”天皇”を語るシーンでは、且つて自らに銀時計を贈ってくれた人間宣言をした”昭和天皇”に対する”人”に対する畏敬の念を”やや恥ずかし気に”語る言葉と共に、彼が信じる”絶対的天皇”への想いが交錯するアンビバレントな感情の機微が微妙に表れる表情にも魅入られてしまう。

・そして現代、当時の楯の会のメンバーや、対立していた筈の東大全共闘のメンバーが三島を語る数々の言葉には、不覚にも涙してしまった。

<最近の”言霊”の端くれもない”国を憂うべき人々の国会討論の内容の空虚さと品性の無さ”が、心底情けなく思えてしまう作品。
  又、猛烈に知的好奇心を刺激された作品でもある。>

■追記
 現在70代になられた当時の東大全共闘及び楯の会に関わっていた方々の眼力の鋭さ、頭脳の明晰さ、男として長い年月を様々なモノと闘ってきた”漢の顔”にも感服した作品である。

<2020年3月20日 劇場にて鑑賞>

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NOBU

4.5結局「三島劇場」

2020年3月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

良かった。
全体的に、全共闘と三島はお互いリスペクトしあってた。
それは三島が大人だったからに尽きる。
三島の決して相手を否定せず、かといって相手の言ってることを
全く無視して持論を述べる事に終始するわけでもない、
あの絶妙な距離の取り方があの場を成り立たせる全てだった。

その距離の取り方は、三島が文筆家として執筆する際の行間を読ませる技術から
来ているのかもしれない。

今回の討論も、この映画も、全ては「三島由紀夫」という人物ありきのものであり、
三島が人生を通じて行動し、結果を出し、評価され、名を挙げたからこそのものである。

全共闘側も真摯に対応したし、共感できる部分もなくはないが、結果を見ると「ごちゃごちゃ言ってるやつより行動したやつ」に寄って掛かる代物である以上、結局「三島劇場」と総括できる。

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0335544

5.0主張と反論、そして傾聴と理解。

2020年3月20日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

このドキュメンタリーを見て、人と人との対話には、主張と反論、傾聴と理解が改めて、大切だと感じました。
対話とは、必ずそこに「相手」という受け手が存在して、成り立つものであり、
相手を不快にさせない、誠実に対峙するという事が基本だという事を現代に問うてるのだと感じました。

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さかもっち

3.0三島の言葉と肉体

2020年3月20日
Androidアプリから投稿

 1000人が集う駒場の900番教室一杯にエーテルのように満ちているのは、熱情ではない、やや光を失いかけながらも輝くサルトルの亡霊。
 肉体を持とうとした作家と肉体を失ないながらも標榜を立ちきれない集団が、サルトルのなかでもがき続ける。
 単純な右翼と左翼などといった世間の煽りの対立構造はそこにはない。反米愛国の単純化でもない。日本固有の歴史と文化は、あくまでも生きた言葉で残せば良かった、死に体の思想も生きた言葉で残せば良かったのだ。
 そんな観念論なんか聞きたくないんだよ、という異論は直ぐにかき消されたが、今では最もらしいその言葉は、当時の世界的な潮流の前では無力であり、もしそのような議論にいければ、少なくとも継続する思想として、肉体の一部位は持ち得たのだ。
 226事件からわずかに30年後、226事件の再現を夢見みた無理やりの強引な殉職劇に肉体を捧げた三島は、言霊と英霊の二つとなった。

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十二滝わたる

4.0言論の大切さ

2020年3月20日
iPhoneアプリから投稿

イデオロギー的なバイアスが掛かるテーマで
もありそうでしたが、フラットな作りで好感
を持ちました。
道を模索し意味付けを求める若者が三島から
答えを引き出そうとする様にも見えました。
1969年は三島が豊饒の海第二巻「奔馬」を
書き上げた後なのもあったのか若者達への眼
差しが意外な程に優しく、やんちゃな息子に
対する親父にも似ています。
全共闘も三島も結局の所は日本と言う国を
想い愛していたのは一緒でした。
今の若者達にも観て欲しい作品です。
こんなにも熱く語る日本人達がいたのです。

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kenjii0809

4.0言論による闘いは必要

2020年3月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

記録フィルムに随時解説やインタビュー映像が挟まれ、親切な作り。
それにしてもその主張はともかく、三島の物腰や言葉遣いなどに人格が伺われ、本当に魅力的な人だったのだなと分かる。一方で全共闘(特に芥なにがしとかいうヤツは今もって)は上滑りする言葉を弄ぶばかりでちっとも響いてこない。
終盤の「全共闘運動後に何をしたのか」についての答えが、いかに彼等が駄目だったのかを物語る…
とはいえ、現在の「言葉が通じない」レベルの政治家の駄目さを考えれば、こうした闘いは必要なのだな、と思わせられる。その点だけでもこの映画の存在意義はある。

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ぱんちょ

採点なんかできるか!

2020年3月1日
PCから投稿

笑える

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