「三島由紀夫の天皇論、闘っている相手は同一とする東大全共闘運動への共感は刺激的」三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
三島由紀夫の天皇論、闘っている相手は同一とする東大全共闘運動への共感は刺激的
豊島圭介 監督による2020年製作(108分)の日本映画。配給:ギャガ。
全共闘活動も良く知らず、三島由紀夫も文学作品は幾つか読んでいるものの、政治的なスタンスは狂信的右翼のイメージしかなく、諧謔的なユーモアを交えながら学生たちに哲学的考えを語る三島の姿は、実に新鮮であった。
三島が語る天皇、日本人を日本人たらしめている古代からの思想、その象徴的な概念として天皇が有るとのインテリ的な想いは、自分にも理解できるところがあり、少々驚いた。別の世界の人間と思ってきたが、三島由紀夫のことを、もう少し詳しく知りたいとは思った。加えて、左右の違いはあれど、闘う相手は同じ変化を望まない体制維持派(国益を損ねている)との三島の認識は、現時点においても一層顕著にも思え、考えさせられるものがあった。
赤ん坊を担ぎながら討論した東大全学連の論客芥正彦も、随分と浮世離れしていたが、その後も筋金入りの変革的劇作家として活動を継続してきているらしく、かなり関心を抱いた。あの赤ちゃんは娘さんで、妻は東大美学科卒であの時仕事中だったとか。その後、中島葵が内縁の妻となり、今も現役の劇作家や表現者であるらしい、なかなか凄い。ただ、若者らしい活動継続に意味が無いとの主張も理解はできたが、自分的には継続に意味大と唱える大人の三島の考え方の方に軍配を挙げたいとは思った。
監督豊島圭介、企画プロデュース平野隆、プロデューサー竹内明、 刀根鉄太、共同プロデューサー大澤祐樹、 星野秀樹 、岡田有正、撮影月永雄太、録音小川武、編集村上雅樹、音楽遠藤浩二、音楽プロデューサー溝口大悟、ナレーション東出昌大、助監督副島正寛、アシスタントプロデューサー吉原裕幸、 諸井雄一、韮澤享峻、企画協力小島英人、題字赤松陽構造。
出演
芥正彦、木村修、橋爪大三郎、篠原裕、宮澤章友、原昭弘、椎根和、清水寛、小川邦雄、平野啓一郎、内田樹、小熊英二、瀬戸内寂聴。