「どうすれば彼女たちを救えると思いますか?」パピチャ 未来へのランウェイ bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
どうすれば彼女たちを救えると思いますか?
アルジェリアの1990年代は「暗黒の10年」と呼ばれています。武装したイスラム原理主義グループによるテロや大量殺戮事件が相次ぎ、内戦へ発展。2002年に政府勝利で終結するものの、イスラム主義武装勢力側の兵士には大赦が与えられています。
「暗黒の10年」が始まる前夜の女子大の寮が物語の舞台。ムスリム社会における抑圧と、イスラム原理主義者からの「生命の危機」に曝される中、自分らしく生きようとした女学生達の姿。
皮肉なことに、アルジェリア国内では、イスラム原理主義へのシンパシーは、衰退とは逆の道を辿っており、2013年には日本人の記憶にも新しい、天然ガス精製プラントのテロなども発生しています。
女性解放のためには、原理主義の狂信的な預言者を排除して行かなければならない。「テロとの戦い」と言う言葉に表される「戦争」は、イスラム武装集団の弱体化させることに他なりません。切り離せないんですけどね、これって。
宗教の戒律は時代と共に弛んで行くもの。キリスト教もしかり。イスラム原理主義も過激なファトワーを出す預言者を排除すれば、異教徒へのテロも根絶でき、ムスリム社会の女性への弾圧も弛緩して行く。
大学寮を襲ったテロから生き延びた「パピチャ」達は、父親のいない子を育てながら、自分たちだけで生活して行く事を誓い合い、映画は終わります。どんな時代にあっても、どんな境遇に置かれようとも、命をはぐくんで行くのは女性たちであると言う、動かしようの無い事実。ゆえに、彼女たちを守って行かなければならないんだと、男は思うんですよ。
これが、今の日本のフェミ視点じゃ、しゃべつになるってのがw
やな世の中になったもんだよ。
映画の方は、良かったです。とっても。
主役のリナ・クードリはSpecialsの心理療養師役の女の子ですよね。今、思い出しました!
期待の新人ですね。