コリーニ事件のレビュー・感想・評価
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原作を読みたくなった
自分の興味あるジャンルの法廷ものであり、ナチスの戦争犯罪関連となれば高く評価してしまうのは当然か。
年に数十本ほど映画を観ますが、ここ数年でもトップクラスの作品でした。
主役のエリアス・ムバレクの今後に期待します。フランコ・ネロもとても良かった。
それにしても、歳をとってくるとハリウッド映画よりもヨーロッパの作品の方が心に染みますね。
コリーニの人生を思うと涙があふれる
良い映画だった。コリーニの苦しく孤独な一生がフランコ・ネロの渋い演技で迫ってくる。法廷劇としてはいまいちだが、後半の調査の展開は「どうなるんだ」という面白さがたっぷりあって退屈しない。ピザ屋の店員のおかげもあって映画全体としては重さと軽さのバランスが取れていて、見終わったとき悲しみだけに打ちのめされないのがよかった。それにしても常に「正義」と向き合おうとするドイツの姿勢に比べて日本は…
舞台はドイツ。 弁護士になって3ヶ月の新米弁護士ライネン。 そ...
舞台はドイツ。
弁護士になって3ヶ月の新米弁護士ライネン。
その彼が弁護することになる、ある殺人事件の容疑者コリー二。その事件で殺されたのは、、
全国で20館ほどの上映なんですが、
もっと上映館を増やして欲しいなと思わせてくれる見応え十分な内容で120分があっという間に感じられた作品でした。
フェルディナント・フォン・シーラッハという方の小説が原作。
普段、小説をあまり読まないので知らなかったんですが(活字を読むと眠くなる😪)シーラッハさん、現役の弁護士だそうです。
弁護士と容疑者、そして、法廷。
法廷での、弁護士と検察、相手方弁護士との弁論対決というあたりはよく目にする展開で法廷サスペンスだと思ってましたが、そこに悲しくいつまでも癒えること無い史実が絡み、主人公の宿命をあぶりだしてゆく良質な人間ドラマでもありました。
重厚感もあるんですが、弁護士ライネンが助けを求める人物たちとの関わりがだんだん「チーム・ライネン」になっていくプロットがワクワクさも醸し出していて、作品の背景にある重さとのバランスが取れていて観ていても堅苦しくないんですよね。
それでいて大きく脱線もさせず、
幾重にも重なっていた真実への扉が開かれて行くところにどんどんと引き込まれる。
そしてストーリーの主軸ではないけれど、弁護士ライネンの母がトルコ人であることもこの作品というかドイツの問題を現している気がしました。
法廷内も、日本の法廷とは一味違っていて被告人(容疑者)は地下から現れ、法廷内のガラス部屋に収監されるんですよね。(実際の法廷を模しているはず、、)
日本の法廷内との違いも面白かった。
そして、事件の鍵となるあるものが出てきたときちょっとニヤリとしちゃいました。
「ルパン三世」でお馴染みのアレだったのでw
もしお近くで上映されていたら、鑑賞予定リストに加えていただき、この事件の深層にあるものは何なのか是非とも確かめていただきたいです。
あし~もとに~からみ~つく~♪
2001年のベルリンを舞台に、弁護士歴3ヵ月の主人公が、そうとは知らず自身の父親代わりの様な存在の恩人の殺害事件の犯人の弁護を引き受けて巻き起こる話。
綺麗な仕事で恨みを買う様子もなく、人柄も良い会社社長だった被害者と、事件について何も語らず弁護士に対しても沈黙を貫くイタリア人の被告人。
というところから、主人公の被害者とその家族との関係や過去をみせていく流れ。
事件については中々動きがみえない中で、極身近な立場であったが故に気付けたことを切っ掛けに話が動き始めるところとかは、結構ベタだし都合良いなー、なんて思っていたけれど、散りばめられていた、様々な裏付けが中々秀逸で、違和感だったものがどんどん消えて納得させられる。
ドイツの法律など微塵も知らない自分には、結論への流れが衝撃的で唸らされたし、結末も落とし所が好みでとても良かった。
やはりナチス絡みですか。
まず疑問、ドイツとイタリアは同盟国だったのになぜ?ドイツの暴走に反感をいだくイタリア人がいたってことですかね。だからあの悲劇が起こった?
さて、コリーニがライネンに父親のことを聞いたとき、えっまさか実の親子?って。でも違いましたな。全体的な展開としては、「へえ~そうか」「なるほどねぇ」が多く特に驚愕するシーンも無くラストもなんとなく「やはりそうなるか」です。まあドイツの不都合な真実は描けてましたね。ところで
ワルサーP38であの怪盗頭に浮かんだ人多いのでは?
かっこいいドイツ映画登場!
2回目鑑賞。戦時のイタリアで「モンテカルロの一夜」というドイツの歌がレコードで何度も流れるのがあの時代の空気を作ってた。
フランコ・ネロの演技に泣けました。1968年の例の法律が問題であったことが法廷で明らかになったときのフランコの顔は、晴れて太陽のようだった。アンナ役の女優さん、とっても素敵、ドイツ人にはいないタイプ。私の祖父がいなかったら「あなたはKebabの売り子だったでしょ」はかなりきついけど本当だ。母親はトルコ人、父親はドイツ人だけど、カスパーが小さいとき、父親はとんずら。でもお父さん、助けてくれたね。それは「お父さんはまだ生きてるの?」とネロが聞いてくれたから。私が思うのは、どちらか一方がえらそうに、でなくて、互いが自分を考える、考えさせる関係というのがいい。そういうのどうかな、とこの映画は私たちに提案してるかなと思った。
エンドロールで、いわゆるドレーアー法には、リュプケ(CDU、後に大統領)、法務大臣ハイネマン(後にSPD初の大統領)、ブラント(SPD、後に首相)も関わっていたことが、流れた。彼らもこの法律が何を意味しうるかわかってなかったんだろう。なぜなら大混乱の時代だったから:1968年、ナチ犯罪への追及が厳しくなりつつある一方で、その反動勢力もあり、ナチス政権下で検事として辣腕を振るったDreherがその法律の草案者だ。政府はCDUとSPDの大連合。まさに法の穴である「時効スキャンダル」は、可決後にビルト紙日曜版が、翌年はシュピーゲル誌が暴いた。ここでもマスコミの力が効いている。
この映画の原作(原作者のシーラッハは弁護士でもある作家)の出版(2011)がきっかけで、ドイツ連邦法務省内にナチの過去再検討委員会が設置された(2012)。
当時の若いマッティンガーもほやほやの見習いで、カスパーとどっこいどっこい。ただ、あの時代に法学専攻だったなら保守で、学生運動側には居なかったろうと想像する。(2020.11.29)
映画とてもいいです。でも、原作読むと何が問題なのか、ドイツは戦後どのように動き、どれだけ膨大な資料を(ナチスの資料はナチスが破棄したが)きちんと保管しそれを法廷でつかったのかよくわかります。公文書が真っ黒だったり議事録とらない、何でも捨てるのは日本だけ?どこの国も?よくわかりません。日独比べてドイツは偉いね、と言いたい訳ではないです。どんなに世話になり大好きな人が居ても、法律の前で謙虚に誠実に、というのは非常にドイツ的だと思います。まして主人公はとても優秀な弁護士の卵、だからこそ。そこらあたりは映画ではちょっと弱いと思いました。原作、薄い文庫本なので関心あったら。(2010.11.28)
カスパーがボクシングやるなんて!想像外の幕開けでワクワク、素敵な俳優さん!といきなり肩入れ状態。
原作は未読ですが、鑑賞後、すぐ買いました。映画化する上で、原作の設定を色々変更したようです。
移民社会のドイツ。DoktorやProfessorといった肩書き大好きなドイツ。クラシックカーとしてのメルセデスーステイタスでもあり、頑丈で、ドイツ人が好きな車ー。定年間近で男前の教授のリッチな生活と引き締まった肉体(例外あり)、これもドイツ。アイロン大好きで、シワシワだらけの衣服考えられないドイツ。ワインを美しいグラスで飲むのもドイツ(ドイツ人はビールばかり飲んでいる訳ではない)。インテリの女子学生だって、タトゥー入れる、ピアスあちこち挿入する、髪の毛もファッションも派手なのもドイツ(ベルリンかな)。
そして、法律を真面目に守るドイツ人が、「正義」の前で謙虚になり、一度決めたことでも、いい方向に変える勇気もある人たちであることが、描かれていた。
前例主義でない、忖度しない、権威や権力に怖じ気づかない。若い人をからかいながらも、リスペクトし、励まし育てるのが上手な大人たち。そういう風に、ドイツの学校、家庭、地域では、若い人を育てる。自分の言葉で自分の意見を述べることを、ひたすらトレーニングする。「生意気」は、若い人へのほめ言葉であるドイツ。以上、美化しすぎであること、わかっています。でも、原発あって、自然をぶち壊して、不要不急の武器買って、私達が払っている税金の使い方がすごく下手くそな、そんな国の「コロナの時代の」私は、自分の国を全く信頼できない。その反動です。
トスカーナの自然も映るし、ドイツ語もイタリア語も聞けます。時代をまたぐ時間軸往来の素晴らしい構成。そして、ジャンゴ~のフランコ・ネロ。ブルーの目は相変わらず美しい。何も語ろうとしないが、表情で示すという、恐ろしく難しい演技が素晴らしかった。音楽もとてもいい!通底するモチーフは父への愛、思いです。
誰が見ても、楽しめるところ、好きなところを見つけられる映画だと思います!
ドイツならではの良作
本当の「正義」とは何かが焦点。
しかも、ドイツだから作れたお話。
少しでもちゃんと良い部分を説明しようとしたら、全ネタバレに直結するから、紹介も感想書くのも、超難易度高くて困る作り。
小説が原作で、作中の事件は実話じゃないけど、モデルになった事件があったことと、裁判に関わった法律の問題点は事実みたいです。
とりあえず「観てよかった」ということは強く言いたい。
数ある法廷ものに比べても負けないくらい、すんごい面白かった。
悲し過ぎる殺人動機
まるで松本清張作品みたいな展開。
事件は初っ端に起こります。
そして、そこから謎が始まります。
こんなに偶然って重なるものなの?というくらいに事件の関係者が半径10メートルくらいに集まっているのは若干気になりますが、それはまぁいいとしましょう。
それよりも何よりも殺人の動機が悲し過ぎて、ツラ過ぎます。そして、結末。。。
結末は、一瞬ポカーンです。
とんでも結末ではありませんが、そんなに急展開されたら、気持ちが置いてきぼりです。
え?ウソでしょ。というくらい気持ちの整理ができないままエンディングに突入です。
とはいえカタルシスはあります。
見て損はないと思います。
#33 本当の正義とは何か
自分を育ててくれた恩人を殺した犯人を弁護するという難しい立場でも、正義を尽くそうとする主人公が格好良い。
物事を合理的に考えられる北寄りのヨーロッパだからこそ成り立つ話。
しかもドイツでしいたぎられているトルコ系っていうのがミソ。
きっと殺された元のご主人様も、主人公の行動を喜んでくれたと思う。
シブくてコクのある、ドイツじゃないと作れない法廷サスペンス
とかくシブい内容になりがちな法廷サスペンスものだが、本作もご多分に漏れず。被告人役のフランコ・ネロがそれにさらに輪をかけてシブい。
誰にもほじくり返されたくない過去はあるが、かといって看過するわけにはいかない。負の汚点に真正面に向き合う内容の映画は、ドイツじゃないと作れないし、もっと言うと日本では作れない。
意図せず負の汚点に向き合わざるを得なくなった某人物に、「君は君だから」と声をかける主人公。実はその言葉は、同じく負の汚点を背負った原作者の心情でもある。
『ラストエンペラー』や『ローン・レンジャー』、『LION/ライオン~25年目のただいま~』を思わせるラスト演出は、あざといと言ってしまえばそれまでだが、ある人物が過去の悲しみからようやく解き放たれた心情を思うと、絶対外せない。
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