コリーニ事件のレビュー・感想・評価
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原作既読者を失望させない良作
原作は数年前に読んでいたので映像化作品を見るとがっかりすることが多いのですが、これはよく作り込まれた映画だと思いました。主人公をはじめ登場人物が被告側、原告側、それぞれ役のイメージに合った役者さんで雰囲気が出てました。孤軍奮闘する主人公をピザ屋でスカウトした女性、確執があった父親、仲間の若手弁護士が助けるのも私が好きな流れ。ミステリの映像化はラストの謎解き部分が単調になってしまうのが難点ですが本作は現在の法廷、過去の回想が交互に描かれ緊張感が途切れないで最後まで見られました。失う物も多かった主人公ですが、ピザ屋のちょっとパンクな姉さんが助手になっていたのが救いでした
ドイツでのナチスの感じが分かった。
法で罪を量れるか
たった数行の文言が、人を有罪にも無罪にもする…
若き新米弁護士のカスパーが弁護する被告人、コリーニは、かつての恩人を殺害した人物だった。
自分の恩人を殺害した人物を弁護しなければならないジレンマに苦しみつつも、その苦しみのなかで本当の弁護士の顔になっていく。法の厳しさと意義、そしてカスパーの成長の物語。
被告人コリーニが黙秘を貫く中、上記の理由からモチベーションの上がらないカスパー。
それでも、ある人物のアドバイスをきっかけに、仲間たちと真実を見つけ出していき、それに応えるようにコリーニにも変化が…
恩人や愛する人を向こうに回し闘わなくてはならないカスパー。色んな意味で有能な相手弁護士の教授。
その法廷で争う教授こそも、弁護士として吹っ切れるきっかけを与えてくれた人物だということもね。。
コリーニの変化や、ワイルドなピザ屋姉ちゃん、疎遠だった父親、戦争犯罪人の真実、だんだんと笑わなくなってくる法廷内…登場人物や映画のつくりが皆自分好みで非常に楽しめた。
もうちょっと、自分の父親との話を掘り下げても良かったかもだけど。
人を殺してはいけないけど、コリーニがそれをしなければ結局法律も…どうなっていたか。
不勉強な自分も、昔は、罪人の罪を軽くするために奮闘するなんて…と思ったこともあったけど、改めて弁護士という仕事が大切であり、難しいものだと気づかされた。
法のちょっとした表現ひとつで事が大きく変わってしまうことに驚いたこと、また、最後には私情ではなく弁護士としての姿勢を全うしたカスパーの姿に、胸が熱くなった傑作だった。
本件、コリー二て一件落着。
ドイツの法廷サスペンスとは珍しいけど、なんと言っても、被告役がフランコ・ジャンゴ・ネロ!すごい存在感で、これだけでも観る価値がありますね。お話し自体は手堅くらいまとめた感じだけど、主人公の個人的事情と職業倫理との板ばさみは意外とあっさりだし、行動も敵側と通じているみたいで、いまいち納得できません。結局、戦時中のナチの残虐行為が真相と言う新味のない展開でちょっとがっかり。被害者の戦時中と戦後のギャップがあり過ぎて、心境の変化とかがわかると良かったかも。戦後ドイツの司法制度に関するオチは、ちょっとひねりがあって面白かったです。
これ、面白い
残虐なドイツ人の歴史を描いたドイツ映画。
トルコ移民で母子家庭の息子ながら念願の弁護士になって初めての仕事が、父親代わりとなって自分を育ててくれた会社社長を殺した在独イタリア人だった。昔の恋人を含む被害者家族との板挟みなど、最初はなかなか話が進まないなーという印象だけど、車がエンストしてピザ屋に飛び込むあたりから面白くなる。
新米弁護士の主人公は黙秘している被告人からは何も聞き出せないが、少しの情報を手がかりに被告人の動機を探っていく。何も喋らない被告人に「父親に会っておけ」と言われたことが心に残り、ずっと憎んでいた父親に公文書の読み込みを任せてピザ屋のアルバイトを伴って被告人の故郷イタリアに行くと…
確かに主人公の元恋人で被害者の孫娘の言うように、被害者は任務に忠実だっただけ。しかし最近では「グッドライアー」もそうだけど、起こってしまった戦争は、終戦後何十年経っても終わらないんだ、ということ。またその罪を問えないようにするとは。
イタリアトスカーナの村の広場でのラストシーンは泣ける。
あと、公文書は大切ね!捨てちゃダメです。
骨太。
一般的に、歴史は風化するという。視覚的なイメージで言えば、75年前に75センチあったY軸の高さが、年月とともに右肩下がりのロングテールな放物線を描きゼロに限りなく近づくように。しかしそれは主観の問題だ。本作品の被疑者の場合、真反対である。おそらくその怨念は時の流れと共にじわじわボコボコと発酵し、真っ当な訴えが悪法に阻まれることでマグマのように煮えたぎり、止める肉親を失うと原発事故のように臨界点を超えた。
歴史を風化させないためには、否、意図的に風化させられつつある歴史を再プリントしてアルバムに貼り直すためには、類い稀なモチベーションと正義感を持ち合わせたプロフェッショナルの力が不可欠だ。そういう意味では本作品内の弁護士がドイツ社会においてトルコ移民の血を引くマイノリティーであることは象徴的だ。もちろん、わが国もハイブリッド社会であってほしいと思う。
あまりにも哀しい社会派サスペンス
味わい深い
サスペンスでも法廷劇でもない
やたら評価の高いドイツ映画。
冒頭におこる殺人事件の弁護を担当する新人弁護士。しかし、被害者は小さい頃にお世話になった人物であり……。
ドイツの法律の抜け穴だとか、法廷劇のドラマとあるので、ドラマチックな逆転劇を期待したが全くそんなものではない。
ラストの判決シーンもかなりの肩透かしだし。
言い方は悪いが、ドイツのドレーアー法とやらに考えさせるメッセージを向けた作品。
濃厚ミステリー。
ドイツの有名な大富豪が頭に3発銃を打ち込まれ、さらに頭を踏みつけられて死亡。犯人はすぐに逮捕されたけどなぜ殺したのかを巡るミステリー。
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その動機は見て欲しいんだけど、ドイツの法律について知識がないとちょい分かりずらいからここに覚書として書いておく。
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ドイツの刑法は謀殺罪と故殺罪にわかれてて、謀殺罪が凶悪犯罪、古刹罪が日本でいう情状酌量がつくような犯罪。日本は情状酌量とかで段階的に罪を軽くできたり重くしたりできるんだけど、ドイツは完全に二つに分かれてるらしい(合ってるかな?)。
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これに関係したある新しく制定された法律がこの事件の鍵になる。これを見ると、憲法改正とかのニュースにちゃんと興味を持たないといかんなと、またケツを叩かれたような気分になったね。
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被害者が事件を担当する弁護士の主人公の祖父代わりのような人で、それとどう折り合いをつけて事件と向き合うかを、もうちょっと詳しく描いて欲しかった。一応貰った車をエンストさせるっていうところがあったけど、ぼーっと見てたからあんまりピンと来なかった(笑).
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ドイツはいつまでもWW IIの悪夢に向き合う。日本はどうだ。
ドイツは国家と国民が存する限り、永遠にナチスの十字架に向き合うのだと思う。
日本は一部の関係者に責任を押し付け、「終戦」で早々に幕引きを図った。
このような映画は日本に生まれないのか。
もし判決がでたらどうなっていたか。
原作を読みたくなった
コリーニの人生を思うと涙があふれる
良い映画だった。コリーニの苦しく孤独な一生がフランコ・ネロの渋い演技で迫ってくる。法廷劇としてはいまいちだが、後半の調査の展開は「どうなるんだ」という面白さがたっぷりあって退屈しない。ピザ屋の店員のおかげもあって映画全体としては重さと軽さのバランスが取れていて、見終わったとき悲しみだけに打ちのめされないのがよかった。それにしても常に「正義」と向き合おうとするドイツの姿勢に比べて日本は…
胸にズンときた
良い人と思っていた人の過去に触れる。
ある人には父であり、恩人である。
コリーニ氏に殺される直前、ハンス・マイヤーは、罪を悔いていたのではないか?
その人を許せなかった自分をコリーニ氏は許せなかったのかもしれない。
正義、罪、償い、世代や時代を超えて大事なものがある。
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