劇場公開日 2020年6月12日

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コリーニ事件のレビュー・感想・評価

全105件中、61~80件目を表示

4.5救われたような気がした

2020年7月6日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

知的

 展開が非常に面白くて、様々な問題提起もある意欲的な作品である。台詞よりも表情で語らせる説明的でない演出もいいし、それに応える役者陣の演技も優れている。特にファブリツィオ・コリーニを演じたフランコ・ネロの存在感は凄い。新米弁護士が主役でともすれば法律談義の映画になってしまいそうなところを、この人の存在感で人間ドラマの範疇にとどまらせている。

 ドイツではナチスを生んでしまったことに対する賛否両論がいまでも続いている。未鑑賞だが最近公開された映画「お名前はアドルフ?」は、生れてくる赤ん坊の名前のことで家族や友人が大論争を始める内容らしい。実際のドイツでも、他のどんな名前でもいいから赤ん坊にアドルフと名付けるのだけはよせと言う人は多いと思う。つまりそれだけナチスに対する反省が続いているということだ。対して日本では、松岡洋右や東条英機の名前さえ知らない人が当方の周囲でも結構いる。主に若者だが、本人の問題というよりも教育の問題だろう。
 日本の高等学校までの歴史教育では近代史をほとんど教えない。だから戦争時の大本営発表に国民が沸き立ったことも、マスコミが軍と一緒になって嘘の勝利を報道し続けたことも知らない人が多い。南京大虐殺や従軍慰安婦問題などはまったく教えない。関東軍が中国で何をしたのか、大人になって映画を観るまで知らなかった。
 文科省は日本の近代の戦争を教えることに消極的だが、日本の映画界の人々は積極的に戦争の本質を追求する。当方が観ただけでも、鑑賞が新しい順で紹介すると「この世界のさらにいくつもの片隅に」「日本鬼子(リーベンクイズ)」「アルキメデスの大戦」「東京裁判」「沖縄スパイ戦史」などがある。少し前だが「日本のいちばん長い日」「小さいおうち」「少年H」「一枚のハガキ」なども観た。
 それぞれに視点も見方も異なるが、戦争を美化することなく正面から受け止める姿勢は共通している。映画人の戦争にかかわる世界観は、文科省のそれとは一線を画しているのだ。邦画の戦争映画の多くは戦争がどのようにして起き、人々がどのように苦しんだのかを目の当たりにさせてくれる。歴史の教科書を開く前に、中学生、高校生には戦争映画を観てもらいたい。

 本作品の主人公カスパー・ライネン弁護士を取り巻く人間関係は、ストーリーの展開とともに少しずつ明らかになる。小声の台詞で明らかにされる過去もあり、注意深く鑑賞しなければならない。
 物語の主眼はライネン弁護士が被告の過去を探り、その人生の真実に迫るところにある。被告が殺したことは明らかだが、動機がわからない。真相に迫るにつれて、もはや罪の軽重を争うことよりも、過去の真実を追及することがライネン弁護士の仕事となる。罪の軽重ではなく被告の人間としての尊厳を守るためだ。
 ドイツに限らず、法定では当事者の素行が容赦なく暴露され、人格が攻撃される。それは被告や原告の利益のためである。しかし本当に大事なのは、当事者の尊厳が守られることである。名誉や虚栄ではなく人間としての尊厳。そこがこれまでの法廷映画とはまったく異なる、本作品独自の世界観である。
 三つ子の魂百までというが、人は幼い頃の心の傷を一生背負って生きていく。その忍耐と意志には敬意を表したい。そして誰もが心の傷を負っているのだとしたら、人は他人の人生に敬意を持たねばならない。金持ちでもホームレスでも、その人生に貴賤はない。等しく他人の人生を敬すること、そこに人間の尊厳がある。
 法定を通じて無名の人間のささやかな人生にも敬意を表し、人間としての尊厳を重んじる本作品の世界観に、なにかしら救われたような気がした。

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耶馬英彦

1.5実話だと思ってた

2020年7月5日
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三毛猫泣太郎

3.5主題はいいのだけれど、人間関係がいまひとつ興ざめ

2020年7月5日
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りゃんひさ

4.0カスパーすてき。

2020年7月2日
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だいず

3.01968年、ドイツでいわゆるドレ―アー法が施行され、多くの戦争犯罪者が罪を逃れた。

2020年7月2日
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鑑賞方法:映画館

焦点は、謀殺か故殺か。何のことやら、です。簡単に言えば、戦争当時の行為が命令に従っただけなのか否か、ということ。それによって刑の重さが異なる。つまり、これでうまく逃げた奴がいたということ。
そこを軸に物語が展開されるのであれば、たいていの筋書きは察しが付く。被害者はドイツ財界の大物、犯人は黙秘を貫くイタリア人、その国選弁護人は裁判初舞台のトルコ人。おまけに被害者は、その弁護士を支援してきた恩人であった。人物像の背景は初めから出来上がっていた。
緊張感はあり、ドイツらしい重厚さもあり、物語に”誠実さ”もある。しかし、予想範囲内。

それでも最後、あれで救われた気がした。誰が、は言わないけど。

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栗太郎

5.0飽きさせない!社会派映画の傑作

2020年7月1日
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kenshuchu

3.5ドイツでしか作れない映画

2020年6月30日
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なかなか硬派な映画である。裁判物と言えばハリウッドお得意の分野なのだが、ドイツでも、こういった内容で作られるのかと感心した。ただ結末まで若干間延びしてる感は否めないが、それでもラストに至るまでの過程として我慢すれば納得できる内容である。ドイツ人気質らしい?真面目な映画でした。ちなみにエンタメ要素は一切ありません。

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オクやん

3.0シーラッハの矢

2020年6月30日
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梨剥く侍

4.0ソリッドで重たいけれど、テンポ良く観られた

2020年6月30日
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無抵抗の相手の顔に三発の銃弾を撃ちこんだ上に、その顔を激しく踏み付けるという殺人犯の、国選弁護人をすることになった新人弁護士が、苦戦しながら真実を解き明かそうとする話。おまけに、被害者は、主人公にとって、育ての親とも言える存在だった。

オープニングの映像と重々しい音楽が象徴的な、全編通して "ソリッド" な映画。

容疑者の男の完全黙秘で何の手掛かりもないまま、無力感と焦燥感に支配される前半と、主人公がふと呟いた "不仲な父との話" を聞いた容疑者が呟いた一言をきっかけに、気持ちよい速度で糸が解れていく後半。

観ている我々には終盤にならないと謎は解けないのだが、容疑者の一言を手掛かりにして、主人公が手ごたえを感じ始めることだけは、テンポよく伝わってくる。

主人公は、人手が必要なため、 2才の時に出て行ってしまった父親にやむなく協力を頼むのだが、それに伴う会話の中で進む緩やかな和解も、そっと作品を支えている感じ。

法律まで含めた本作の内容は、原作となった小説のヒットをきっかけに、2012年にドイツ連邦法務省が省内に調査委員会を立ち上げたほど、限りなく重たい。

犯人の気持ちは痛いほど解き明かされるし、被害者の家族の言葉も切実に届く。犯人は、どうすることが正しかったのか、今でもわからない。終盤で容疑者が呟く、「死者は報復を望まない」が、結末を予兆させる言葉だったのか。

そんな、限りなく重たい映画だが、前半後半の語り口の違いが際だっているため、気持ちよく観ていられる。

どんな結末になるのかは、是非劇場で観てください。
観るべき映画だと思うし、ちゃんと楽しめる点はすごいと思う。

ドイツにおける、トルコ系ドイツ人の扱いもよくわかりますよ。

おまけ
「被害者は、181cm.93kg.93歳」ドイツ人、さすがにでかいですね〜

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CB

5.0とにかく観て欲しい映画

2020年6月29日
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あお

4.5骨太なドイツ映画

2020年6月28日
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ぱんちょ

5.0原作既読者を失望させない良作

2020年6月28日
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原作は数年前に読んでいたので映像化作品を見るとがっかりすることが多いのですが、これはよく作り込まれた映画だと思いました。主人公をはじめ登場人物が被告側、原告側、それぞれ役のイメージに合った役者さんで雰囲気が出てました。孤軍奮闘する主人公をピザ屋でスカウトした女性、確執があった父親、仲間の若手弁護士が助けるのも私が好きな流れ。ミステリの映像化はラストの謎解き部分が単調になってしまうのが難点ですが本作は現在の法廷、過去の回想が交互に描かれ緊張感が途切れないで最後まで見られました。失う物も多かった主人公ですが、ピザ屋のちょっとパンクな姉さんが助手になっていたのが救いでした

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raumer

3.0ドイツでのナチスの感じが分かった。

2020年6月28日
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ドイツ映画ってあんまり観てないが、ナチスの扱いってこんな感じなんだね。
兵隊の横暴な感じと法廷の何とも言えない感が良い。
ただ、ストーリーは一本調子すぎるかな。もうちょっとサイドストーリーが欲しかったかな。

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khapphom

4.5法で罪を量れるか

2020年6月28日
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泣ける

悲しい

知的

たった数行の文言が、人を有罪にも無罪にもする…

若き新米弁護士のカスパーが弁護する被告人、コリーニは、かつての恩人を殺害した人物だった。
自分の恩人を殺害した人物を弁護しなければならないジレンマに苦しみつつも、その苦しみのなかで本当の弁護士の顔になっていく。法の厳しさと意義、そしてカスパーの成長の物語。

被告人コリーニが黙秘を貫く中、上記の理由からモチベーションの上がらないカスパー。
それでも、ある人物のアドバイスをきっかけに、仲間たちと真実を見つけ出していき、それに応えるようにコリーニにも変化が…

恩人や愛する人を向こうに回し闘わなくてはならないカスパー。色んな意味で有能な相手弁護士の教授。
その法廷で争う教授こそも、弁護士として吹っ切れるきっかけを与えてくれた人物だということもね。。

コリーニの変化や、ワイルドなピザ屋姉ちゃん、疎遠だった父親、戦争犯罪人の真実、だんだんと笑わなくなってくる法廷内…登場人物や映画のつくりが皆自分好みで非常に楽しめた。
もうちょっと、自分の父親との話を掘り下げても良かったかもだけど。

人を殺してはいけないけど、コリーニがそれをしなければ結局法律も…どうなっていたか。

不勉強な自分も、昔は、罪人の罪を軽くするために奮闘するなんて…と思ったこともあったけど、改めて弁護士という仕事が大切であり、難しいものだと気づかされた。

法のちょっとした表現ひとつで事が大きく変わってしまうことに驚いたこと、また、最後には私情ではなく弁護士としての姿勢を全うしたカスパーの姿に、胸が熱くなった傑作だった。

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MAR

3.5本件、コリー二て一件落着。

2020年6月27日
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シネマディクト

4.0これ、面白い

2020年6月26日
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ミーノ

3.5良質な社会派ミステリー

2020年6月26日
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悲しい

知的

主人公がトルコ系ドイツ人という設定は、第三者的な視点を導入するためのものかな。
最後の判決の場面ではスッキリしないものが残る。

あと、パンクなお姉さんが可愛い。

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Yasaburo

3.5Der Fall Collini

2020年6月26日
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68年の悪しき法律が明かされた後、コリーニは自害。死者は復讐を望まず。
コリーニの葬儀後、子供時代のコリーニ父子を町で思い浮かべる。
ドイツも戦後の闇がまだまだ続いてる。

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たつじ

3.0ふつう

2020年6月24日
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題材が定番になっているので
う〜ン
どこまで行っても普通です
普通に面白い

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hachi

4.0骨太。

2020年6月24日
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 一般的に、歴史は風化するという。視覚的なイメージで言えば、75年前に75センチあったY軸の高さが、年月とともに右肩下がりのロングテールな放物線を描きゼロに限りなく近づくように。しかしそれは主観の問題だ。本作品の被疑者の場合、真反対である。おそらくその怨念は時の流れと共にじわじわボコボコと発酵し、真っ当な訴えが悪法に阻まれることでマグマのように煮えたぎり、止める肉親を失うと原発事故のように臨界点を超えた。
 歴史を風化させないためには、否、意図的に風化させられつつある歴史を再プリントしてアルバムに貼り直すためには、類い稀なモチベーションと正義感を持ち合わせたプロフェッショナルの力が不可欠だ。そういう意味では本作品内の弁護士がドイツ社会においてトルコ移民の血を引くマイノリティーであることは象徴的だ。もちろん、わが国もハイブリッド社会であってほしいと思う。

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Kumiko21