「色々と考えさせられた作品」コリーニ事件 タウザーさんの映画レビュー(感想・評価)
色々と考えさせられた作品
クリックして本文を読む
決してハンスマイヤーやマッティンガーの過去の行為を肯定をするわけではないですが、若い頃のハンスマイヤーがあの時代の全体主義の流れに逆らえたかというと確実にそうとは言えなかったでしょうし、若いマッティンガーもその流れに巻き込まれた中でドレーアー法への賛成という立場であったのではないかと感じています。
やはり、戦争は傷つくものや壊れるものに代替不可能なものが多く、往々にして社会的に弱い立場の者からその被害を受けるため、結局のところ最終的に出来ることは、社会としての機能や流れが「こういう場合はこうなる恐れがある」という共通認識を作り、それが再度起こらないようにする事なのだろうと改めて強く思いました。
また、これらに加えて、犯した過ちに対する責任はどこまで精算しなければならないのかといったテーマも含まれていたので、そのような点も作品としては非常に興味深い点であったのではないかと思います。
そして、これら比較的重いテーマを扱う中で、登場人物が、トルコ系移民の新米弁護士の主人公、その主人公が生活をする上で幼い頃にお世話になっていた人、そのお世話になっていた人の娘で元恋人、法律を学んでいた際にお世話になった人…といったように複雑な関係となっていた点に、作者なりのメッセージが詰まっているのではないかなんて事を楽しく想像させて頂きました。
テーマの設定自体が重かったり、決して皆がハッピーエンドな映画なんて事は言えませんが、改めて戦争の一面を考える映画としては良い作品なのではないかと思います。
コメントする