「【”子供の笑顔が、我らの未来” が実現出来ている社会が、健全なる社会ではなかったか! 親権を持つ”親”の愚劣極まりなき行為を、”人間”として糾弾した弁護士の姿に救われる。】」幼い依頼人 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”子供の笑顔が、我らの未来” が実現出来ている社会が、健全なる社会ではなかったか! 親権を持つ”親”の愚劣極まりなき行為を、”人間”として糾弾した弁護士の姿に救われる。】
ー ”実話に基づいたフィクション”と、冒頭にテロップが流れる・・。ー
◆感想
・前半は、ダビンとミンジュンが弁護士になれずに、”児童福祉館”で嫌々働く、ジュンユプに懐いていく姿が、描かれる。
継母ジスクからの暴力にも耐えながら・・。実の父親の、愚劣な言葉に吐き気がするも、ダビンとミンジュンが、楽し気にジュンユプと動物園に行ったり、初めてのハンバーガーを食べたり・・
ー きっと、二人の幼き兄弟は自分たちと同じく早くに母親を亡くしたジュンユプの善性を本能で見抜いていたのだと、思う。ー
・継母ジスクを演じたユソンさんの、鬼気迫る演技も凄いし、女優魂を感じる。だって、あの役は引き受けたくはないでしょう・・。イメージダウンになってしまうし・・。けれど、ユソンさんの裁判での演技も含めての凄さが、今作の恐ろしさ、哀しさを引き出しているのは、間違いない。
・ソウルの法律事務所に念願の就職を果たしたジュンユプが、事務所トップの弁護士の言葉を聞いて、法律事務所を辞めるシーンや、ダビンとミンジュンへのジスクからの虐待に気付いていながら、無関心の近隣の”大人”達の姿。
ー ダビンが泣きながら言った言葉が心に沁みる。無関心を装う事への怒りも、今作は示している・
・継母、ジスクも、実の母を知らなかった・・、母の愛情を受けていなかった・・、と言う負の連鎖。
・判決から、半年後。実の母親の写真を探して、ダビンに渡すジュンヨプ。
ダビンの笑顔に、少しだけ救われた気持ちになった・・。
<日本でも、躾と称して幼き娘を殺した父親が懲役刑で重い処罰を受けた事は記憶に新しいが、私は日本の刑法で、実親殺しが重罪になるのに、実子殺しが重罪にならない事は、法制度の瑕疵であると思っている。
(なので、あの非人間的な男に言い渡された量刑は、一歩前進だったと思う。が、他のレビューでも書いたが、個人的には一罰百戒の意味と、事件の残虐性も加味して、極刑にして欲しかった。)
今作は、韓国で実際に起こってしまった、実子虐待事件を基に製作されたようであるが、ラストに流れる韓国社会で、児童虐待が増加している実態には、哀しさと怒りを覚えた。
が、日本でも状況は同じである。
経済的に貧しい事は、子供の罪ではない。
世界の全ての子供達が、笑顔で暮らせる社会を作るのは、私たち大人の責任である。
まずは、劇中でも描かれていたが、虐待を知ったら見て見ぬふりをせずに、警察に知らせる事。そして、児童虐待防止法がキチンと機能するために、児童相談所で頑張る方々への支援体制の強化も含めて、
”微力ではあるが、自分は何が出来るのか、何をしなければならないのか”
という事を考えさせられた作品である。>