「見慣れた作品」ハニーボーイ KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
見慣れた作品
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オーティスの父親役のシャイアの経験を基とした作品。それを事前に知った上で観ると、シャイア演じるジェームスの未熟さや勝手さの中にどこか寂しさが蔓延した父親を魅力的に演じてくれた。
まぁ作品としては特別目新しいものではなく、虐待や暴力から生まれる人間関係には恨みしか生まれず、その恨みは世代を超えて連鎖し最後は恨みが自分を苦しめるといった見慣れた作品ではある。
その為まぁ若干退屈な時間もあったが、それなりに見られる。
父親のジェームスはどうしようもない父親である。ただジェームスもまた両親がアル中で暴力の中で育ってきた。故に小学生のオーティスにも困った時は暴力で教育する事しかできず、そんな自分に嫌気が差した時は酒で逃げるといった自分の親と同じ道を歩む。
そんな環境の中苦しんできたオーティスもまた大人になったパートでは同じように酒と暴力で人生を悩ませてる。
この世代を越えた連鎖の原因はなにか。この作品では恨みこそが原因の一つとして描かれており、強い恨みがトラウマに変わりそしていつまでも自分を苦しむ原因の一つとして描かれている。
人への恨みというのは生まれてしまうと中々簡単に消せるものではない。ただし恨みで自分の人生を振り回してしまうのはとてももったいないことである。
この恨みを解消するには何か。恨む相手を許し新しい関係を築く事として最後に父親と抱き合うのだが、この辺があっさりしていたのが少し作品としては淡白に感じた。
自身の体験だけにシャイアの演技はとても魅力的ではあったが、まぁ良くも悪くも見慣れた作品ではあった。
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