ぶあいそうな手紙のレビュー・感想・評価
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孤独…話し相手は必要です
一言「グラシアス!(ありがとう)。
視力をほぼ失った独居老人・エルネストと、手紙の代読・代筆をするビア。
この2人の「じいじと孫」的な、微妙な関係。
ビアは最初手癖が良くなかったりして「大丈夫かなあ」と不安でしたが。
エルネストが紡ぎ出す言葉や、ちょっとした教えで。
ビアは「人を大切に思うことの、奥深さ」を学んでいく。
そしてエルネストもまた、それを改めて確認していく。
この凸凹コンビが、時に愉快でしんみりもしたり。
耳の遠い・隣人との「老老コンビ」も、いいアクセント。
「老いとはいろんなことを分かち合う人を、失くすこと」。
なんとなく、わかるような気がする。
名画座系の渋い作品ですが、最後意外な結末でほろっ。
劇中のアコーディオンの音楽もなおよろし🪗。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「手紙の言葉は味がある。死後もずっと残る物」
人生の機微
ブラジル映画って、ノリはいいけど、大味?
そんなイメージがあるのなら、みごとに裏切られる。
細部にいきとどき、言葉に繊細。
人生の機微を感じさせてくれるのに、
テンポよく飽きさせない。
主人公の2人、何より品の良さのようなものがにじみ出ている。
ほとんどの人は、この2人を好きになるんじゃないかな。
2人はいろんな意味で正反対。
でも、根本では似た者どうしのようにも思われる。
自分の中に自分を支える確固たるものがない。
そうした2人の交わりが、互いを変えていく。
そして、それぞれの境遇から一歩を踏み出す。
YouTubeにあるアゼヴェード監督のメッセージを見ると
なるほど、2人のキャラクターの良さは
監督自身なのだと理解できる。
彼女の他の作品もぜひ見てみたい、
そんな気持ちにさせてくれる、美しい映画です。
補いあうこと
若者と年寄り、ましてや異性だとなかなか交流することはないし、交流のきっかけもないですよね。エルネストとビアの関係が素敵だったのは、お互いに足りないものを補いあっていることと、友人であること。羨ましかったです。
ビアの若さは、エルネストに未来を生きる想像力を与えてくれたと思います。逆にエルネストの思慮深さは、ビアに安心と落ち着きを与えた。お互いを補いあったからこそ、エルネストもビアも人生をただやりすごさずに、前を向いて新しい道を歩きだせたのだと思います。
劇中のLGBTの集会が、過去にエルネストが関わっていた社会運動を連想させました。それは、未来を良くしたいと夢見た当時の若者と現在の若者の言葉を代弁しているようでした。そう、未来を良くしたいと考えて生きることの他に、生きる意味はあるのでしょうか。
哲学的だしフィルムも美しくて私好み。素晴らしい作品でした。
二本立て二本目。ジジイの妄想物語。 息子が世話してくれた親切なハウ...
【アンサンブル】
この作品には、
老いたエルネストと若いビアを中心に、さまざまな対比が織り込まれている。
手書きの手紙と、タイプライターの手紙、
形式に拘った表現と、率直な言葉遣い、
スマホの動画のどこかぎこちない話し方と、語りかけるような口調、
視力の衰えたエルネストと、聴力の衰えたハビエル、
長年想い続けたのに気持ちを押さえ込もうとするエルネストと、常に誰かを求めてしまうビア。
そして、途中の場面。
夜の街で詩を大声で交わし合う若者達を見ると、どこか普通と異なるように感じられて、これも対比のようなものではないかと思ったりする。
しかし、こうして語られる対比の物語が絶妙に絡み合って、まるで調和してアンサンブルのように感じ始める。
そう、対比とは言っても対立するものではないのだ。
僕達は、いつの間にか、古いとか新しいとか、あっちとこっちとか、分けて考えることに慣れすぎているのではないか。
どこかに壁を作ってはいないか。
エルネストがお金を取られるのを覚悟でやったことと、ビアが返金する行為。
そして、ここから、二人の気持ちはお互いに向き合い始める。
最後、エルネストは自分の気持ちに素直に従おうと思い立ち旅立つ。
ビアは誰かに依存することなくやっていこうと決心をする。
この旅立ちで、この映画の物語はいったん終わりになるが、また、別に奏でられる物語が続くのだと、多くの人に思わせる。
一歩踏み出す素敵なストーリーだと思う。
サッカーばかりやってないで、もっと映画撮って。
人は一人では生きて行けない。そのくせ、一人になりたがる。
どうせ一人で死ぬのだから、今、一人になっていたとしても何も変わらない。
と考えるか。
一人で死ぬ前に、一緒に居たい人と最後の時を過ごしたい。
と考えるか。
人生の最後のピリオドで知り合ったビアによってもたらされた変化。
エルネストの最後の人生の選択。
それだけの映画ですが、面白かったです。
ただ、とても長く感じられた。と言うか、あまりにも退屈w
それと、抒情詩テロって言うけど、あれのどこが抒情詩なのかが判らないw
ブラジルと言えばサッカーとコーヒー豆と借金しか思い浮かばない罰当たりな私ですが、もっとブラジル作品を見てみたいと思わされる映画でした。
退屈だったけど、良かった。
優しくも少し悲しいブラジル音楽
良いラストです。
一人で死ぬのはいやだ
今年は手紙をテーマにした映画が多い気がする。しかも、タイプライターを打つよりも温かい手書き文字がいい。視力も低下して手紙も読むことができなくなった78歳の老人エルネストに、ある時、ウルグアイ時代の友人の妻ルシアから手紙が届き・・・という展開だ。
隣人のハビエルが妙に仲良しで楽しくなるのですが、この作品の中では最も好感の持てるキャラクターでした。週に1回来るだけの家政婦よりも、もしかして孤独死してるんじゃないだろうな?と部屋の前に置かれた新聞でチェックする日常生活。チェス仲間でもあり、彼の孤独を癒してくれる存在でもあった。
23歳の女性ビアと知り合い、手紙の代筆など身の回りの世話もしてくれるようになり、家政婦をクビにしてしまったエルネスト。ビアに金を盗られたというより、わざと持っていくように仕向けたというほど信頼していたのだ。
ビアとの心の交流よりもさらに信頼していたのは隣人ハビエルなのだと感じた。孤独死しても世話をしてくれるだろうし、だからこそ金にも執着しないし、ビアをも信頼できたのだと。だからこそ、最後の英断が成り立ち、若き頃の恋が再燃できたのかと・・・やはり持つべきは信頼できる隣人なんだと感じてしまった。
なんか、いいね
ブラジル映画ってあまり観ないなあ。
老男性が、目が悪いので旧友(女性)から来た手紙を読めず、偶然知り合った若い女性に読んでもらう話。
"頑固なじじい" と "はすっぱ" なのだが、出会った時から、なんだかウマが合う2人。じいさん(エルネスト)は、女性(ビア)のやることを咎めないし、ビアは最初は金をくすねたりしてるのに、いつしか、それも返し、心を通わせてる感じになる。
少しずつわかるビアの過去をみると、"信じてもらう" という経験が、これまでの人生でまったくなかったであろう。それだけに、エルネストの "盗んだと知っていても、何も言わない" 態度は、「信頼された」と響いたのだろうな。ビアの語彙にはまだ「信頼」はなさそうだから、ビアが言葉にすることはなく、映画は淡々と続いていくのだが、お互いに「それを言葉にする語彙をもたない」だけで、映像で2人の絆が太くなっていく様子は、かなり気持ちよかった。
いい映画を観た。
哲学的な要素のある作品
優しくなるなー。
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