「屈託ない笑顔の裏にある葛藤」行き止まりの世界に生まれて Rubysparksさんの映画レビュー(感想・評価)
屈託ない笑顔の裏にある葛藤
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ディグトリオというポッドキャストで紹介されていたのを聴いてすぐに『行き止まりの世界に生まれて』を観た。スケートボードのシーンの美しさと、彼らの屈託ない笑顔がキラキラしているからこそ、その裏にあるドメスティックバイオレンス、彼らの抱えた癒やされずにのこる傷、家族に対しての葛藤なども同時に等身大に描かれていることの重みがずっしりくる。そして、監督のビンが、そこにある暴力に対して傍観せずに介入していく姿、行き止まりの世界から一歩前に進んで行こうとする彼らの姿に本当に胸を掴まれた。
映画を観終わって、原題のMinding the Gapでポッドキャストを検索したらビン監督のゲスト回のポッドキャストがたくさん出てきて、週末はずっとそれを聴きあさってた。映画制作の背景を知ってますますこの作品に愛着が生まれもう一回観ようと思う。好きなシーンはたくさんあるけど、暴力は簡単に無くならないという絶望感を表現したシーン(ザックの発言の後に、ビンの「ガーン」みたいな表情が映る)の編集が秀逸だと思った。
この作品が日本で公開された2020年はちょうどパンデミックの只中で、それでも配給会社が頑張ってビン監督と劇場を繋いでオンライントークイベントをやっていて、その記事も読んだ。ビン監督の、暴力のない世界への祈りにも似た思いが、映画からも伝わるけど、このトークからも伝わってくる。
ビン監督の言葉「自分が誰かを傷つけてしまうかもしれないことを認め、それを恥じずに、自分をより向上させるために、話をすること。そういったカルチャーを作ることじゃないかなと思います。」
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