「賛否両論必至?無根拠で過度な期待を持っていると足元を掬われるオールドファッションのB級シチュエーションホラー」クワイエット・プレイス 破られた沈黙 よねさんの映画レビュー(感想・評価)
賛否両論必至?無根拠で過度な期待を持っていると足元を掬われるオールドファッションのB級シチュエーションホラー
わずかな音に反応する謎の生命体との攻防で夫リーを亡くしたエヴリンは耳の不自由な長女リーガンと長男マーカス、そして生まれたばかりの三男を連れて新たな隠れ家を探す旅に出る。やっと辿り着いた廃工場に着いたところでそこに住んでいる男エメットに救われる。しかしそこには十分な食料もなく長居はできない。リーガンは『ビヨンド・ザ・シー』のレコードをただ延々と流しているラジオ局があることが気になっていたが、その歌に込められていたメッセージに気づき、独りでそのラジオ局があるところを目指すが、そこにはあの生命体とはまた別の危機が待ち構えていた。
正直言うと前作ほどのインパクトはないです。それは当然のことで、よく解らないがとにかく音を出したら食われるというネタだけで構成されたシチュエーションホラーだった前作に対して、本作はもうそこは肝ではなくなっているから。ということで前作では描かれなかった世界の終わりの始まりを描いてお茶を濁していますがそれも対して効果的ではないです。
要するに本作では別のシチュエーションが用意されていて、サブタイトルの“破られた沈黙”というのがその辺りと匂わせているのかなと思いました。個人的には身も蓋もない因果応報が見せつけられる中盤と終盤の阿鼻叫喚、すなわち油断している人間は大人も子供も関係なく食われるという凄惨さに良質なゾンビ映画と同じ清涼感を感じました。
思いの外ヒットしてしまったがために作られた続編というある意味オールドファッションな作品であり、そういう意味ではガッカリ感はなくそりゃそうだろうという納得感しかない終幕まで安心して鑑賞出来る作品ではありますが、新体感サバイバルホラーとまで風呂敷を広げるのはどうかなと思います。IMAXで観る必要は全然ないです。