「ジャイモン・フンスーの迫真さに免じて、星2つ★★」クワイエット・プレイス 破られた沈黙 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
ジャイモン・フンスーの迫真さに免じて、星2つ★★
大ヒットしたパニック・ホラー映画『クワイエット・プレイス』の続編。
前作の直後を舞台に、父親を失ったアボット一家を襲う新たなる恐怖が描かれる。
前作からのキャストは、
イヴリン・アボット…エミリー・ブラント。
マーカス・アボット…ノア・ジュプ。
etc…。
新キャストとして、アボット家のかつての友人エメットを演じたのは「ダークナイト トリロジー」『インセプション』のキリアン・マーフィー。
製作を務めるのは、前作から引き続きマイケル・ベイ。
なんというか、某海外ゾンビドラマを彷彿とさせる展開と雰囲気の映画だった。あんまり静かじゃない。
いい加減、「音を出したら即死」というキャッチフレーズは外した方が良いのでは?「即死じゃねーじゃん!」と前作の時には既に思っていたもん。
正直前作はあんまり好きではなかった。今作も…、うーんイマイチ。
まず良かった所。
冒頭15分、前作の前日譚であるシークエンスはかなり良かった。
日常から異常への移り変わりを端的に描けていたし、聴覚障害者の娘リーガンの主観的な場面では音が消えるという演出は冴えている。
でも、その後が退屈🥱
なんかチンタラしてたなぁ…。
結局本作における全ての問題は、登場人物間のコミュニケーションがグダグダだったから。
一人で旅立ったリーガンにしろ、不要不急の外出でモンスターに襲われたマーカスにしろ、なにか問題を起こすために、キャラクターがバカな行動をさせられているようにしか捉えられない。
マーカス&イヴリンのパートなんて、全部物語的には不必要なピンチだからね。呆れちゃうよ。
リーガン&エメットのパートもつまらない。
90分くらいの短い映画なんだから、出し惜しみせずに「ビヨンド・ザ・シー」にさっさとたどり着けば良いのに、『ウォーキング・デッド』みたいな野蛮人とのアクションに時間を割いてしまう。音を出しちゃいけないのに、あんな強盗みたいなことをして生きているのかあいつらは!?よく生き残ってこれたなぁ😅
結局「ビヨンド・ザ・シー」が描かれるのは後半20分くらいなので、全くこの集落に愛着がわかず、モンスターに虐殺されてもなんとも思わない。
この辺の安全地帯描写も、本当に『ウォーキング・デッド』みたいだったなぁ。
そもそも、本シリーズの面白みは音を立ててはいけないという縛りの中でどう行動するのか、というところにあると思うのだが、今作ではガンガン音を立てるわ叫び声はあげるわで、全然クワイエットじゃない。
今後も作品を作り続けるつもりなんだろうが、『2』にして既にシリーズの根本を揺るがしてしまうブレが見られる。
まぁただのモンスター映画になったとしたら、それはそれで楽しくなるのかもしれないが…。
正直、前作とはかなり毛色が違う作品なんだけど、今作も別に面白くはなかった。
ただ、某サメ映画に登場するサミュエル・L・ジャクソンを彷彿とさせる、ジャイモン・フンスーの鮮やかな死に方にはなかなか笑わせてもらえましたので、前作よりもちょっぴり評価は高めです😆