「贅肉のない映画」クワイエット・プレイス 破られた沈黙 ONAKAMAさんの映画レビュー(感想・評価)
贅肉のない映画
前作は規模が小さいながら濃密された面白さが詰まっていましたが、今作はスケールアップしてモンスター映画になっていました。それでも面白さが持続しているのは監督の力だと思います。
前作の前日譚が今作のOPとなっており、スピルバーグ的な演出が光っていました。前作では壊れていた信号機が立派に点滅しており、車のドアの開閉も思いっきりしていました。野球の試合もいつも通り行われているなんて事のない日常はあっという間に一気に崩壊しました。怪物の襲来、殺傷能力がとんでもなく、次々となぎ倒していきます。車で逃げる母が前方から迫るバスを見て全力で回避するシーンはとても見ものでした。
逃亡する際に、トラップにかかる息子ですが、音を立ててはいけないという状況下で叫んではいけないというのは見ているだけでもとんでもなく辛いものでした。そんな中前作で得た知識で、音を利用し怪物を怯ませ、母が思いっきりトドメをさしました。カッコいい。
地下には過去の旧友エメットがまだ生き延びていたので、そこにお世話になります。彼はまだ死んだ妻のことを忘れられずに、過去にしがみついている人間でした。前に進む一家とはまた違う視点の人物が登場するのは、視野が広がりとても良かったです。
中盤は地下での、それぞれの葛藤や苦悩が描かれます。そんな中、長女は自らの殻を破り、まだ人間が生きている場所へのヒントを探しに外へ行きます。怪物に襲われそうになりますが、心配したエメットがやってきて、見事撃ち抜きます。カッコいい。
息子も外に出て何か手がかりを探しに出かけます。ただその最中にエメットの妻の腐敗した死体を見て驚いてしまい、大きな音を出して、怪物に気づかれてしまいます。これは絶体絶命。なんとか地下に逃げ込みますが、怪物に位置はバレてしまいます。
時を同じくして、娘とエメットは盗賊らしき人間たちと出くわしてしまいます。他人を信用できないエメットは怯えてしまいますが、手話で会話をし、怪物を上手い具合に盗賊に誘き寄せることに成功します。さらに怪物が泳げないという弱点も見つけます。一気にモヤっとしていた部分が晴れるので、気持ちのいいシーンです。
その後生存者がいる小さな島までいき、束の間の平和を過ごしますが、頭のキレる怪物は船に乗って島まで上陸し、生存者をギッタギタにしていきます。テンポよく人をぶっ飛ばしていくので爽快感があります。助けてくれた人もあっという間に殺されていくので、非日常ならではの非常な感じが際立ちます。ラジオ局までたどり着き、怪物を音で怯ませながら、思いきり怪物の頭をぶっ叩いて殺します。お見事。
息子も娘が流した音をラジオ伝いで聞かせ怯ませ、拳銃でぶち抜いて殺します。お見事。
前作は親の成長でしたが、今作は子供の成長。前作で綺麗に終わったから続編はいるのか?と思いましたが、完璧な続編でした。まだまだこの世界のその先が気になってきました。
鑑賞日 6/20
感情時間 11:35〜13:30
座席 H-5