劇場公開日 2021年6月4日

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「クオリティは超逸品、しかし前日譚では超えられなかった」るろうに剣心 最終章 The Beginning たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5クオリティは超逸品、しかし前日譚では超えられなかった

2021年6月26日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

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あえて辛らつな意見を言うなら、やっぱりThe Finalを超えるものではなかった。今年初めてシリーズを観た人が言うことじゃないのかもしれないが、前日譚ではやはり難しい。

まだ十字傷ができる前、抜刀斎として恐れられていた頃の緋村。その冷酷で悲惨な人斬りを変えた、運命の出会いと別れを描く。The Finalでもチラつかせていたので、多少は合点が行くし、作品の重みは感じる。しかし、返って作品の良さを排除したようにも思える。大友監督としては、極力削ぐことで孤独や内包的な感情を表現する意図があったと考えられる。しかし、私が好きなのはアンサンブルな剣心であって、前日譚が少し番外編に見えたのも事実だった。
それに加えて、非常に綺麗で繊細な映像ではあるのだけど、夜の殺陣が増えた故、また暗く沈みがちな画になってしまった。ピンと張り詰めた緊張を2時間、こちらも維持するのは意外と疲れる。容赦なく追い込んでいくから仕方がないことではあるが…。単に合わなかった部分でもあるが、少し退屈が勝った。
キャストは申し分なし。佐藤健だってあえてポテンシャルを少し落としているだろうし、有村架純の佇まいは別格だった。そんな2人の胸の張り裂けるようなドラマ、だからこそThe Finalの前に観たかった気もする。背負っているものがどれだけ大きなものだったのか、覚悟を知った上で観るとその凄みが増すような話だからこそ、勿体ない気もしている。

世界基準なアクションを日本でしか出来ない時代で描く。本当に素晴らしいシリーズだった。緋村剣心として約10年走った佐藤健に賛美を送りたい。

たいよーさん。