「その幕引きにこれ以上ない仕上がりでした」るろうに剣心 最終章 The Beginning 白波さんの映画レビュー(感想・評価)
その幕引きにこれ以上ない仕上がりでした
前作でルーツを深く見せていたので、あと何を見せられるのだろう?そう思っていた本作。
そしてそれは今までと違い、じっくりと物語を見せる作りでした。
Finalが「動」、Beginningは「静」と、二つで一つの作品として作られていたのでしょう。
基本的に十字傷や不殺の誓いの謎を開いていくのですが、そこより寧ろそれに伴う二人の静かな演技が魅力的でした。
シリーズ唯一のラブストーリといえば綺麗な言い方ですが、むしろそれは悲哀そのもの。
最初分かっているので、観ていて少し辛いです。
そしてその静の部分に合わせた世界ですが、これが素晴らしく美しいんですね。美術がすごい頑張っていたと思います。
そしてアクションの部分も少なめながらあるのですが、ここもちゃんと考えられてました。
今までの逆刃刀による叩く・当てる殺陣でなく、斬る剣技だったところです。これは本当に分かっている演出でした。
原作を知るものにも映画Finalから知るものにも、これだけ濃密な二人の時間を飽きもせずに見せられる脚本はすごいなと思います。
幕末の動乱の中で引き裂かれた、とある悲哀の物語。
それは終わりであり、始まりでもありました。
Finalを観た後だからこそ、これは効いているのだと思います。
実際Beginningを観ていて、「これは面白いなぁ」と何度思った事か。
上映順番も完璧で、全部が終わった後に観せられた本作は、足りていなかった最後のピースがピタリとはまるんです。
10年もの長きに渡ったこのシリーズ、その幕引きにこれ以上ない仕上がりでした。
本当お見事です、ありがとうございました。